2004 Fiscal Year Annual Research Report
放射線キメララットを用いた血管内膜肥厚の細胞起源と形成メカニズムの検討
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16590308
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
近藤 一直 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 助教授 (90270983)
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Keywords | 炎症性サイトカイン / 血小板凝集 / 血管内膜肥厚 |
Research Abstract |
血管内膜肥厚の形成およびその細胞起源に対しては炎症性サイトカインによる刺激が大きな影響を及ぼすと考えられている。傷害を受けた血管では主に活性化した血小板から成る血栓が形成され、ここから放出されるサイトカインが役割を果たすと考えられることから、今回われわれは以下の方法により血小板凝集に対するインターロイキン8(IL-8)の作用を検討した。シリアンハムスター(8週齢、オス)をペントバルビタール64mg/kg腹腔内投与により麻酔し、下大静脈穿刺により採取した血液を用いてカウント法による全血血小板凝集率、および光透過法によるPRP凝集率(Platelet Rich Plasma;多血小板血漿)を測定した。その結果(1)IL-8のin vitro添加刺激は全血血小板凝集を軽度惹起する傾向があった。この変化は有意のものではなかったが、n数が増えれば有意の効果として検出される可能性が高いと考えられた。(2)IL-8は単独添加によりPRP凝集を惹起せず、またADP(アデノシン2リン酸)によって惹起されるPRP凝集を増強することもなかった。以上の結果より、IL-8はハムスター血小板を直接凝集させることはなく、赤血球・白血球といった他の細胞成分を介して血小板活性化に関与する可能性が考えられた。これはヒト血小板について過去に報告されたのと同じ結果であり、その作用機序については好中球/単球/リンパ球を刺激することによりそこから放出されるサイトカイン類、候補としてカテプシンG、トロンボキサンA2、血小板活性化因子PAF、Stromal cell-Derived Factor-1、RANTES、TARCなどの関与が推察された。
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