2004 Fiscal Year Annual Research Report
溶骨性骨転移における破骨細胞分化因子(RANKL)の役割
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16590313
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北澤 理子 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00273780)
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Keywords | 骨転移 / 破骨細胞 / RANKL / 遺伝子プロモータ / 転写制御 / 副甲状腺ホルモン関連蛋白 / Runx2 / CpGメチル化 |
Research Abstract |
大多数の癌の骨転移は溶骨性骨転移であるが、骨の脆弱性により病的骨折を来たし患者のQOLを損なうため、臨床的に重要である。骨組織の微小環境に腫瘍細胞が介入することにより、破骨細胞形成・骨破壊が促進するが、副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)などの腫瘍由来因子が破骨細胞分化因子(RANKL)の発現を亢進させるメカニズムについて検討した。 まず、既にクローニングし解析をすすめたマウスRANKL遺伝子プロモータ領域に存在するRunx2/Cbfa-1結合配列の機能について検討した。Runx2/Cbfa-1欠損マウスには破骨細胞が形成されないことが知られてきたが、近年Runx2/Cbfa-1欠損骨芽細胞がRANKLを発現し破骨細胞形成を支持できるという結果が報告されている。私どもは、厳密にRunx2発現を制御した条件下でRANKLの転写制御を検討する目的で、Runx2 cDNAをTet-On Vector pTRE2に組み込んだコンストラクトを作成し、Runx2欠損C6細胞に遺伝子導入した培養細胞を樹立し解析を続けている。一方私どもは、Runx2欠損C6細胞自体は、Vitamin D3または、PKA agonistに反応してRANKL mRNA発現を示すことを定量的RT-PCRにて証明できたため、Runx2はRANKL発現には必須な因子ではないが、何らかの制御作用を示す可能性があると考えて解析を行っている。 ヒトの癌の溶骨性骨転移巣の病理組織標本や、ヌードマウス頭蓋に癌細胞を移植して作成した溶骨性骨病変の実験モデルの組織標本を用いて、RANKL mRNA発現を解析した。骨転移巣では、腫瘍細胞に近接する部位の骨芽細胞・骨髄間質細胞にRANKL発現を認め、引き続いて破骨細胞形成が観察された。 またRANKL発現が、骨芽細胞におけるプロモータDNAメチル化により制御される機構にかんしても引き続き検討を行った。RANKL mRNA・蛋白発現のないLater passageのST2細胞を脱メチル化剤である5アザシチジンで処理することによりRANKL mRNA・蛋白発現が回復することを示した。培養細胞レベルにおいても、メチル化とRANKL発現の回復にはheterogeneityが見られた。 以上の成果は、第22回日本骨代謝学会と第45回日本組織細胞化学会ワークショップにて報告し、一部の成果はActa Histochemica et Cytocmenmicaに報告した。
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Research Products
(7 results)