2005 Fiscal Year Annual Research Report
溶骨性骨転移における破骨細胞分化因子(RANKL)の役割
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16590313
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北澤 理子 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00273780)
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Keywords | 骨転移 / 破骨細胞 / RANKL / 遺伝子プロモータ / 転写制御 / 副甲状腺ホルモン関連蛋白 / Runx2 / CpGメチル化 |
Research Abstract |
多くの癌は溶骨性骨転移を来たし、病的骨折により患者のQOLを損なうため、臨床上大きな問題である。骨転移巣では、微小環境に腫瘍細胞が介入して、破骨細胞形成・骨破壊が促進する。破骨細胞形成には骨芽細胞が供給するRANKLと破骨細胞前駆細胞の受容体RANKの結合が必須であるため、RANKLの発現を亢進させる分子機構について検討した。 私どもがクローニングしたマウスRANKL遺伝子プロモータ領域には、Runx2結合配列が存在する。Runx2がRANKL転写に必須かどうかを検討した。プロモータアッセイやEMSAでは、Runx2結合部位を介してRANKL転写は正に制御された。一方でRunx2欠損骨芽細胞C6は、vitamin DやPKA agonist存在下で破骨細胞形成を支持するが、定常状態でのRANKL発現はRunx2をもつST2細胞に比して高レベルであった。Tet-On Vector pTRE2にRunx2 cDNA組み込んだconstructを用いた強制発現、Runx2のsiRNAをもちいた実験から、Runx2がRANKL発現を抑制する機構が存在することがわかった。RANKL遺伝子プロモータのさらに上流側を解析することにより、Runx2はクロマチン凝集を促進し、PKAはクロマチン凝集を解除することによりRANKL転写を促進する機構の存在を示した。 RANKL発現が、プロモータ領域のCpGメチル化により制御される機構に関しても検討を行った。RANKL promoter constructをin vivoでメチル化すると転写活性は1/3に減弱し、vitamin Dによる転写促進作用も消失することから、CpGメチル化が抑制的に作用することを証明した。RANKL発現のないLater passageのST2細胞を脱メチル化剤5Aza-dCで処理するとRANKL mRNA・蛋白発現が回復し、破骨細胞形成能も軽度だが回復することを示した。正常マウスの多臓器を検索すると、メチル化が高頻度であるが、特に、TATA box直前に存在するCpGのメチル化で転写抑制がおこる可能性が示唆された。 以上の成果は、第23回日本骨代謝学会、第94回日本病理学会にて報告し、これらの成果はActa Histochem Cytochem、Histochem Cell Biol、J Cell Biochemに報告し、J Bone Miner Resに投稿中である。
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Research Products
(6 results)