2004 Fiscal Year Annual Research Report
患者病巣腺組織移植免疫不全マウスでのシェーグレン症候群に関与する自己抗原の同定
Project/Area Number |
16590324
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
桜井 敏晴 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20101933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑名 正隆 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50245479)
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
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Keywords | シェーグレン症候群(SS) / 病巣涙腺・唾液腺 / SCIDマウス / ヒトIgG抗体 / cDNA発現クローニング / 新規自己抗原 |
Research Abstract |
【目的】シェーグレン症候群(SS)患者の病巣外分泌腺組織に浸潤しているB細胞は、外分泌腺特異的自己抗原を認識して抗体を産生している可能性がある。そこでSSの病態に直接関与する自己抗原を効率的に同定するために、患者病巣唾液腺・涙腺移植免疫不全(SCID)マウス血清を用いたcDNA発現クローニング法を試みた。【方法】(1)SS患者病巣涙腺・唾液腺をSCIDマウスに皮下移植後、ヒトIgG抗体の産生をELISA法で確認し、最高値の8-11週目に全採血した。このマウス血清でヒト唾液腺上皮細胞(HSG)株のλファージcDNAライブラリーをスクリーニングした。(2)単離抗原に対するIgG抗体がSS患者血清中に特異的に検出されるかを検討した。【結果】(1)SS患者病巣外分泌腺移植SCIDマウス血清中にヒトIgGを認め、涙腺組織移植10例中3例(30%)、唾液腺組織移植56例中8例(14.3%)、合計67例中11例(16.7%)でマウス血清中にヒトIgGの上昇が認められ、その濃度は44-1152μg/mlであった。これら移植マウスの移植片、脾臓、骨髄、及びリンパ節等の各組織に浸潤・生着したヒト免疫担当細胞(T, B, Plasma細胞等)をFACS法により確認した。さらにそれらのマウス血清を用いてHSG cDNAライブラリー4-8x10^5クローンをスクリーニングし、既知のSS関連自己抗原のSS-A1、SS-A2は、3、9クローン、SS-B/Laは、41クローンが高頻度で単離された。また、それぞれの血清から1-16種類、合計56種の新規自己抗原遺伝子を単離した。(2)新規自己抗原に対するIgG抗体は、健常人12例の血清中にはまったく検出されず、SS患者24例の血清中にはSS-A1/Ro(16例)、A2/Ro(14例)、及びSS-B/La(12例)に対する抗体とほぼ同頻度の7-11例で検出された。【結論】SS患者病巣外分泌腺組織を移植したSCIDマウス血清を用いることで、SS-A1,2/RoやSS-B/Laが高頻度で単離・同定されたので、SS患者病巣には特異的自己抗原を認識するB細胞が浸潤している可能性があり、本法を用いることにより、SSの病態に関連した新しい自己抗原を効率的に単離できる可能性が示唆された。
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