2004 Fiscal Year Annual Research Report
チオレドキシン発現制御動物を用いた酸化的ストレス関連生体異物応答分子種の研究
Project/Area Number |
16590329
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
平林 容子 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 室長 (30291115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 達 国立医薬品食品衛生研究所, 安全性生物試験研究センター, センター長 (50100110)
松下 智哉 中外製薬株式会杜, 研究本部・安全性研究部, 研究員
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Keywords | チオレドキシン / 造血幹細胞 / チオレドキシン過剰発現マウス / 細胞周期 / チオレドキシンノックアウトマウス / BUUV法 / 骨髄造血抑制 / ベンゼン |
Research Abstract |
生体異物反応の中で、最も一般的な寄与の高い介在分子種として知られる酸化的ストレスに焦点をあて、生体異物応答に関与する分子種の機能について以下の検討を進めた。尚、Trx-TgとTrx-KOなどの遺伝子変異マウスを参照動物として実験に用いた。 1.酸化的ストレスに対する個体レベルあるいは試験管内試験での検討:(1)非増殖系細胞における細胞内呼吸とアポトーシスの関係について既にラットで樹立されている心筋細胞の初代培養系をマウスに適用し、系を樹立するために培養条件の検討を進めた。(2)Trx-Tgマウス及びTrx-KOマウスの造血幹・前駆細胞の細胞生物学的特異性を、各種造血幹・前駆細胞のコロニー形成法や個体内細胞動態解析法によって解析した。定常状態では、Trx-Tgマウスと野生型には差異はみられなかったが、細胞動態解析の結果、Trx-Tgマウスの造血前駆細胞(CFU-S-9)でも培養性コロニー(CFU-GM)でも標識速度が遅く、細胞回転は抑制状態にあることが示唆された。KOマウスでは幹細胞数が約10%多いことから、逆に細胞回転が促進状態にあることを推定期待値としてその分画比測定に向けて更に解析を進めている。 2.1.での背景となる分子機構の解析:個々の酸化的ストレス暴露時の、再生系としての造血器、および非再生系としての心循環器を対象に、野生型での変動が既知の遺伝子の発現の差異を中心に解析を行った。酸化的ストレス誘発剤としてのベンゼン暴露後、野生型ではその発現や活性上昇で知られるp21やSODの発現を見たところ、Trx-Tgは定常状態ですでに野生型よりその上昇が観察された。次に、ベンゼン暴露後で比較すると、造血毒性の緩和を反映してか、SODの活性上昇はsham対照群に比べて有意ではあったが、野生型のそれに比べると軽微な発現に止まり、p21については発現量の更なる増加はみられなかった。p21の定常状態での発現上昇については1.で観察されたTgマウスでの細胞回転抑制の分子基盤と符号する事象として興味深い。
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Research Products
(6 results)