2005 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア感染でのMΦ/樹状細胞による肝病態形成と免疫応答修飾
Project/Area Number |
16590343
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
渡部 久実 琉球大学, 遺伝子実験センター, 教授 (50143756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
モハメッド・カイサール マヌール 琉球大学, 医学部, 助手 (70347136)
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Keywords | ネズミマラリア / 肝NKT細胞 / マクロファージ / 樹状細胞 / アポトーシス抑制因子(AIM) / 原虫の早期排除 / 肝病態形成 |
Research Abstract |
【目的】マラリア感染に伴い肝臓傷害や肝髄外造血などの病態が誘導されるが、その機構についてはいまだ不明な点が多い。研究代表者らは、ネズミマラリアモデルやヒトマラリアにおいて、肝NKT細胞群が感染防御機構を担うことや、その機能制御はマクロファージ(MΦ)/樹状細胞(DC)が担うことを、C.parvum肉芽腫やCon A肝障害モデル及び移植における免疫寛容誘導の実験より明らかにした。すなわち、これらの細胞は抗原呈示細胞として特異的免疫応答を惹起することができるが、成熟状態や活性化によって免疫応答を抑制・不活性化する負の制御も担うことが明らかになってきた。本年度は、MΦ/DC由来のアポトーシス抑制因子であるAIM(apoptosis inhibitor expressed by macrophages)がC.parvum肉芽腫モデルマウスにおいてNKT細胞及びT細胞を制御し肝病態形成を担うという研究成果をもとに、ネズミマラリア感染におけるAIMの役割について肝NKT細胞を中心に解析を行った。 【結果と考察】C57BL/6(B6)マウスに比較してAIM欠損マウスでは、急性期に見られるparasitemiaのピークはやや高いものの原虫は速やかに排除された。B6マウスの肝NKT細胞は21日目から減少したが、AIM欠損マウスでは7日目から減少し正常化されるものの、NKT細胞のアポトーシスは3日目に著しく、21目目にB6とほぼ同じレベルまで回復した。血中のIL-12レベルは2週目をピークとして原虫の排除と共に急激に低下したが、B6マウスではこのような低下は認められていない。IL-10レベルは、AIM欠損マウスで2週目に高値を示しその後低下したが、B6マウスでは、3週目にピークを迎えた。これらの結果から、マラリア原虫感染ではC.parvum肉芽腫とは異なり、AIM欠損により感染からの回復が促進されると共に血中サイトカインレベルも早期に正常レベルに戻ることが明らかとなった。このことは肝臓においてMΦ/DCがNKT細胞の動態を制御していることを強く示唆している。
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Research Products
(5 results)