2004 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯熱マラリアの予防と治療への応用をめざした人工ヒト免疫グロブリンの開発
Project/Area Number |
16590347
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
橘 裕司 東海大学, 医学部, 助教授 (10147168)
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Keywords | マラリア / 熱帯熱マラリア原虫 / ヒトモノクローナル抗体 / MSP-1 / Fab断片 |
Research Abstract |
マラリアによる死者は世界で年間150〜270万人と推定されているが、ワクチンはまだ実用化されておらず、薬剤耐性マラリアの拡散も問題になっている。本研究では、熱帯熱マラリアの治療や予防に応用できるヒトモノクローナル抗体の作製をめざし、抗熱帯熱マラリア原虫ヒト抗体の遺伝子クローニングを試みた。回復期にある熱帯熱マラリア患者の少量の末梢血からリンパ球を分離し、RNAを単離した。そして、抗体のH鎖Fd領域とL鎖をコードする遺伝子をRT-PCRによって増幅した。発現ベクターpFab1-His2に組み込んで大腸菌JM109株に導入し、抗体遺伝子ライブラリーを作製した。熱帯熱マラリア原虫のメロゾイト期で発現される様々な抗原蛋白質や粗抽出抗原を用い、コロニーウェスタン法、ELISA法、間接蛍光抗体法(IFA)によって一次スクリーニングを行った。コロニーウェスタン法では多数の陽性クローンが検出されたが、IFAによる二次スクリーニングではすべて陰性であった。また、ELISAやIFAで検出された陽性クローンもほとんどが非特異的な抗体を産生していた。しかし、Merozoite surface protein 1のC末端側19kDaの組換え蛋白質(MSP1-19)を抗原としたELISAにおいて、特異的な1クローンが得られた。IFAによってメロゾイト表面を認識すること、ウェスタンブロット法において、非還元条件下で19kDa抗原と反応することが確認できた。抗体遺伝子を解析した結果、germlineはH鎖のV断片がVH1-8、D断片がD3-10、J断片がJH4であった。また、L鎖はV断片がVκ3のA27、J断片がJκ5であった。さらに、この抗体のH鎖、L鎖それぞれについて、片方を固定し、他方をライブラリーの遺伝子と組み合わせてシャッフルした後、再スクリーニングを行った。それによって、さらに4種類の異なったL鎖遺伝子をクローニングできた。今後、これらのMSP1-19特異的な抗体Fab断片について、熱帯熱マラリア原虫増殖抑制効果の有無をin vitro系で検討する予定である。
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Research Products
(2 results)