2005 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯熱マラリアの予防と治療への応用をめざした人工ヒト免疫グロブリンの開発
Project/Area Number |
16590347
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
橘 裕司 東海大学, 医学部, 助教授 (10147168)
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Keywords | マラリア / 熱帯熱マラリア原虫 / ヒトモノクローナル抗体 / Fab / MSP-1 |
Research Abstract |
マラリアによる死者は世界で年間約300万人と推定されているが、ワクチンはまだ実用化されておらず、薬剤耐性マラリアの拡散も問題になっている。本研究では、熱帯熱マラリアの治療や予防に応用できるヒトモノクローナル抗体の作製をめざした。熱帯熱マラリア患者由来の抗体遺伝子ライブラリーを用いてFab抗体を大腸菌で発現させ、それをスクリーニングして、今年度新たに2種類の抗熱帯熱マラリア原虫抗体(Pf143とPf227)を得た。いずれのFab抗体もmerozoite surface protein-1のC末端側19-kDa蛋白質(MSP-1_<19>)を認識していることをELISAで確認した。抗体遺伝子の塩基配列を解析した結果、H鎖のgermlineは、Pf143がVH7-81、D3-10、JH5であり、Pf227がVH1-8、D3-10、JH4であった。一方、L鎖のgermlineは、Pf143がA27とJκ2、Pf227がA27とJκ4であった。昨年度クローニングしたPf25を加えた3種類のFabについて、MSP-1_<19>に対する親和性を表面プラズモン共鳴法によって解析した。解離定数は、Pf25が1.09×10^<-9>M、Pf143が1.71×10^<-9>M、Pf227が2.66×10^<-9>Mであった。これらのFabについて、既知の中和エピトープを認識しているかどうかを競合ELISAによって検討した。その結果、中和活性のあるマウスモノクローナル抗体12.8と中和活性のないマウスモノクローナル抗体2.2の両方と競合し、3種類のFab抗体は両方のエピトープを認識するか、これらのエピトープに極めて近接したエピトープを認識すると推定された。最も親和性の高かったPf25について、熱帯熱マラリア原虫に対する増殖抑制効果をIn vitro系で検討したが、有意な抑制効果は認められなかった。本研究において、中和活性は確認できなかったものの、熱帯熱マラリア原虫MSP-1_<19>を認識するヒトモノクローナル抗体を大腸菌で初めて作製することができた。また、MSP-1_<19>を認識するヒト免疫グロブリンの遺伝子構成を初めて明らかにした。今後、更にスクリーニングを継続することで、中和活性のあるヒト抗体のクローニングも可能であると考えられる。
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Research Products
(1 results)