2004 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌系・神経系・免疫系ネットワークに支配される細菌感染防御機序の解析
Project/Area Number |
16590352
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中根 明夫 弘前大学, 医学部, 教授 (30164239)
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Keywords | リステリア / 感染 / レプチン / MCP-1 / インスリン / 肥満 / 糖尿病 |
Research Abstract |
レプチンはヒトや動物の脂肪細胞から産生され、脳下垂体においてcorticotropin-releasing hormoneを介し、摂食抑制やエネルギー代謝亢進を誘導する。さらに、レプチンはTh1タイプの免疫応答を亢進することが報告され、サイトカインとともに免疫系・神経系・内分泌系のクロストークの必須分子であると考えられる。本研究者はこのような背景からレプチンに注目し、今年度は、リステリア感染に対するレプチンレセプター欠損マウス(db/dbマウス)およびレプチン欠損マウス(ob/obマウス)の感染抵抗性を対照マウスと比較した上で、これらのマウスの感染感受性とその機序について研究を行い、以下の成果を得た。 1.db/dbマウス、ob/obマウスともにリステリア感染に対し高感受性し、特に肝臓における菌のクリアランス能が低下していた。 2.db/dbマウスではリステリア感染により誘導されるMCP-1およびKCの発現が、ob/obマウスではMCP-1の発現が特異的に低下していた。 3.ob/obマウスにリコンビナントレプチンを投与すると、リステリア感染に対する抵抗性、肝臓におけるMCP-1の発現が回復し、体重および血糖値の減少が認められた。 4.db/dbマウスをインスリンで治療すると、リステリア感染に対する抵抗性、肝臓におけるMCP-1とKCの発現が回復し、体重および血糖値の減少が認められた。 以上の結果から、レプチンはMCP-1の発現を直接亢進する作用と、血糖の調節を介した間接的な作用の両方を介して、細菌感染を制御することが示唆された。
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Research Products
(4 results)