2005 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌系・神経系・免疫系ネットワークに支配される細菌感染防御機序の解析
Project/Area Number |
16590352
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中根 明夫 弘前大学, 医学部, 教授 (30164239)
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Keywords | リステリア / 感染 / CRF / ウロコルチン / IL-10 / STAT3 |
Research Abstract |
Corticotropin-releasing factor(CRF)は、神経ペプチドの一種で、ストレス反応のきかけとなるメディエーターであり、神経・内分泌系において重要な役割を果たしている。一方、グルココルチコイドの誘導にも関係しており、免疫系とも重要な関わりを持っている。CRFファミリーにはCRF、urocortin(Ucn)、Ucn2、Ucn3が存在する。本年度は、CRFファミリーペプチドの細菌感染免疫における影響を検討し、以下の結果を得た。 1.CRF、urocortin(Ucn)、Ucn2を投与したマウスのうち、Ucn2を投与したマウスのみ、リステリア経静脈感染に対する抵抗性が減弱し、非致死感染から致死感染へ転換した。また、脾臓・肝臓中の生菌数は、Ucn2投与マウスのみで有意に上昇した。 2.Ucn2投与マウスの脾臓において、リステリア感染防御に必須なIFN-γおよびTNF-α産生が低下していたが、増悪因子であるIL-10産生が増加していた。 3.Ucn2の感染防御抑制効果は、IL-10遺伝子欠損マウスあるいは抗IL-10抗体投与マウスで解除された。 4.Ucn2投与マウスの脾臓では、IFN-γによって誘導されるSTAT1のリン酸化が低下し、IL-10によって誘導されるSTAT3のリン酸化が亢進していた。同様な反応は、マクロファージにおいても認められた。 以上の結果から、Ucn2はIL-10産生を亢進させることによって、リステリアに対する感染防御を抑制することが示唆された。これらの結果は、CRFファミリーペプチドが特定のサイトカインを調節することによって、免疫系に干渉することを示している。
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Research Products
(3 results)