Research Abstract |
本研究は,抗酸菌の菌体や菌体成分による活性化シグナルにより誘導されるマクロファージ(MΦ)のcPLA_2のphagosome膜へのtranslocationとリン酸化による活性化現象に焦点を当て,そのメカニズムを解明しようとするものである。本年度の一連の検討により,(1)MAC感染後のRAW-MΦでは,細胞質にdiffuseに存在するFITC標識cPLA_2が速やかに菌体周囲に集積して行くこと,(2)この感染により誘導されるcPLA_2のMAC菌が内在するphagosome膜へのtranslocationは3 mM ATPによって強くup-regulateされること,(3)こうした現象は,その後のphaseでみられるMAC感染MΦのアポトーシスに先行して起こること,(4)cPLA_2のSer505のリン酸化については,RAW-MΦではconstitutiveに起こっており,MAC感染により特に著しくup-regulateされるという現象は認められないことなどが明らかになっている。さらに現在までの取り組みで,(5)ヒトcPLA_2αのcDNAをRT-PCRで増幅し,GFPとの融合蛋白発現ベクターへ組み込む作業を完了し,(6)cPLA_2α-GFP発現ベクターを用いてのCHO細胞へのtransfectionを行い,融合蛋白がintactな形で発現し細胞内で一様に分布していることを共焦点レーザースキャン顕微鏡で確認しており,現在,ヒトMΦ細胞株を用いて,MAC感染により誘導されるMΦ内でのGFP標識cPLA_2αのtranslocationの様相についての検討を実施しつつある。また,S505A/S505E, S515A/S515E, S712A/S712Eなどの変異が導入されたcPLA_2αとGFPとの融合蛋白発現ベクターの作製も進めており,今後はGFPで標識された種々の変異cPLA_2αを用いての検討を進める予定にしている。
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