2005 Fiscal Year Annual Research Report
持続感染するヘリコバクター・ピロリ固有の分裂・増殖機構(負の作用)の役割
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16590362
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
竹内 啓晃 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (90346560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
公文 義雄 高知大学, 医学部, 助教授 (40215033)
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Keywords | Helicobacter pylori / H.pylori cdrA(細胞分裂関連遺伝子) / 宿主免疫応答 / IL-8分泌量(vitro,vivo) / 慢性持続感染 / ハイリスク株 |
Research Abstract |
昨年度までに、H.pylori cdrAは分裂抑制作用を有し、その破壊株は1)分裂・増殖亢進、2)膨化短桿菌状、3)長期培養可能、5)PBPs(PBP1-4)比率に影響、5)薬剤殺菌性に抵抗を示す事を報告した。また、本遺伝子がその遺伝子(機能)状態から4つの型に分類でき、日本と米国間では検出される臨床分離株の遺伝子タイプがかなり異なる事を見出した。そこでcdrA破壊株の宿主免疫応答への影響とその病原性を解析した。先ず、in vitro(AGSとの共培養)でIL-8分泌量をELISA法で測定した結果、cdrA破壊株のIL-8分泌量は野生株の50-60%程度と有意に低値を示した。次にin vivo(米国患者の胃生検組織にて)で検証した結果も、本遺伝子機能欠損株感染者の平均IL-8分泌量は機能保持株感染者の60-70%でありin vitroの結果に一致した。このことは、in vitro、in vivo共にcdrA-株はcdrA+株程に炎症反応を惹起しない。すなわちcdrA-株は宿主免疫応答を減弱し、排除されにくく慢性持続感染を助長する事になりピロリ菌側に有利に働いている。実際に動物実験や臨床例から感染により本遺伝子が欠損する事が報告され、cdrA欠損・機能不全は慢性持続感染成立を助長・強固にすると考えられる。 また、細菌病原因子として重要な一つであるCagA蛋白の動態(細胞内移行やリン酸化)について両株間で比較解析したが差は認められなかった。これらの研究結果から、ピロリ菌のcdrA^-cagA^+株は宿主にとってハイリスク株になると考えられ臨床的(除菌療法も含めて)にも十分に注意を払う必要があると思われる。
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Research Products
(7 results)