2004 Fiscal Year Annual Research Report
非結核性抗酸菌細胞壁糖ペプチド脂質に対する宿主応答の分子機序
Project/Area Number |
16590368
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小林 和夫 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20142432)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 壮吉 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (30244073)
藤原 永年 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (80326256)
前田 伸司 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50250212)
|
Keywords | 結核 / 非結核性抗酸菌感染症 / 細胞壁表層糖タンパク脂 / 病原因子 / 感染防御 / 宿主応答 / 血清診断 / 治療標的 |
Research Abstract |
抗酸菌の特異的細胞壁表層糖ペプチド脂質や接着/侵入に関与する菌表層蛋白質の宿主に対する生物学的活性を免疫原性、炎症惹起や抗菌防御の視点から分子医学的に解析し、新規診断・治療候補として抗酸菌細胞壁糖脂質や蛋白質の可能性を探索した。 Mycobacterium avium complex(MAC)特異的糖脂質蛋白質(GPLやその抗原決定基であるGPL核)を抗原とした血清診断はヒトMAC感染症に高い特異性(92.5%)や感度(95.1%)を示した。次に、抗菌化学療法反応群(治療による菌陰性化、14例)と抗菌化学療法非反応群(菌陽性持続、13例)の抗体価の推移を解析した。反応群では治療後に抗体価が有意に減少したが、非反応群では変動はなかった。また、非反応症例で肺葉切除患者(1例)の抗体価は切除後に減少した。すなわち、血清抗GPL核抗体価の測定はMAC感染症の診断のみならず、MAC感染症の疾患活動性を反映することが示唆された。現在、関西地区を中心として多施設-臨床試験が進行している。さらに、結核菌や弱毒ウシ型結核菌(BCG)などの抗酸菌から抗酸菌特異的DNA結合蛋白質(MDP1、分子量28kDa)を精製、遺伝子の塩基配列を決定、生物学的意義について解析した。MDP1の発現強度は指数増殖期く定常期=衰退期であった。また、MDP1は抗酸菌の細胞質や表層に局在していた。機能的に細胞質MDP1は抗酸菌DNAと結合し、DNAやRNA合成、さらに、蛋白合成を阻害し、その結果、抗酸菌の分裂増殖速度を遅延させた。他方、抗酸菌表層MDP1は抗酸菌の気道上皮細胞への接着・侵入に関与し、抗酸菌特異的DNA結合蛋白質と宿主細胞表面に存在するグリコサアミノグリカン(GAG)に依存していた。予備的なin vivo感染実験結果は抗MDP1抗体やGAGの感染前や感染後投与でも有効、すなわち、予防・治療に有効な手段であった。
|
Research Products
(6 results)