2005 Fiscal Year Annual Research Report
非結核性抗酸菌細胞壁糖ペプチド脂質に対する宿主応答の分子機序
Project/Area Number |
16590368
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小林 和夫 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20142432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 壮吉 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (30244073)
藤原 永年 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (80326256)
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Keywords | 結核 / 非結核性抗酸菌感染症 / 細胞壁表層成分 / 病原因子 / 感染防御 / 宿主応答 / 血清診断 / 新規ワクチン開発 |
Research Abstract |
抗酸菌細胞壁表層成分の宿主に対する生物学的活性を免疫原性(抗原決定基、液性および細胞性免疫)、炎症惹起や抗菌防御の視点から解析し、新規診断・治療候補として抗酸菌細胞壁糖脂質や蛋白質の可能性を探索した。Mycobacterium avium complex (MAC)特異的糖脂質蛋白質を抗原とした血清診断はヒトMAC感染症に高い特異性や感度を示した。現在、関西地区を中心として血清診断キット(試作)による多施設臨床試験が進行中である。結核菌や弱毒ウシ型結核菌(BCG)などから抗酸菌特異的DNA結合蛋白質(MDP1、分子量28kDa)を精製、遺伝子の塩基配列を決定、生物学的意義を解析した。抗酸菌表層MDP1は宿主細胞表面に存在するグリコサアミノグリカンに結合した。抗酸菌-宿主細胞の接着・侵入は抗MDP1抗体やグリコサアミノグリカン(特に、ヒアルロン酸)で阻害されたことから、MDP1-グリコサアミノグリカン相互作用を介して、結核菌が宿主細胞に接着・侵入している。マウスを用いたin vivo感染実験結果から、抗MDP1抗体やグリコサアミノグリカンの結核菌感染前、或いは、感染後投与は感染生菌数を有意に減少(約1-3/10)させ、予防・治療の両者に有効な介入手段であることが判明した。次に、MDP1を標的としたワクチン開発に着手した。MDP1単独やMDP1-DNA複合体でマウスを前免疫し、その後、結核菌を接種し、菌数や免疫学的指標からワクチン効果を評価した。MDP1-DNA複合体前投与により、菌数を有意に減少(約1/5)させた。なお、MDP1単独では菌数滅少効果を認めなかった。MDP1-DNA複合体の免疫学的作用機序を解析したところ、1)抗MDP1抗体および2)interferon-γ産生誘導が認められた。すなわち、MDP1を分子標的とした介入は新規治療・予防戦略として有望である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] DNA augments antigenicity of mycobacterial DNA-binding protein 1 and confers protection against Mycobacterium tuberculosis infection in mice2005
Author(s)
Matsumoto, S., M.Matsumoto, K.Umemori, Y.Ozeki, M.Furugen, T.Tatsuo, Y.Hirayama, S.Yamamoto, T.Yamada, K.Kobayashi
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Journal Title
J.Immunol. 175
Pages: 441-449
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[Journal Article] Mycobacterial trehalose 6,6'-dimycolate preferentially induces type 1 helper T cell responses through signal transducer and activator of transcription 4 protein2005
Author(s)
Oiso, R., N.Fujiwara, H.Yamagami, S.Maeda, S.Matsumoto, S.Nakamura, N.Oshitani, T.Matsumoto, T.Arakawa, K.Kobayashi
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Journal Title
Microb.Pathog. 39
Pages: 35-43
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