2005 Fiscal Year Annual Research Report
腸管出血性大腸菌O157:H7の経口生菌ワクチンの開発
Project/Area Number |
16590379
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
濱端 崇 国立国際医療センター(研究所), 感染症制御研究部, 室長 (40311427)
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Keywords | 腸管出血性大腸菌 / O157:H7 / ワクチン / 感染症 / マウス感染実験 |
Research Abstract |
Stx無毒化O157:H7ワクチン侯補株(以下Stx-im)の有効性をShimizuら(Microb.Pathogen. 35:1-9,2003)のマウス感染実験系にて検討した。3週齢雄BALB/cマウスにストレプトマイシン(SM)飲水下、Stx-im(SM耐性)を5日おき3回にわたり10^<10>CFU経口投与した。陰性コントロール群にはK12株(SM耐性)あるいはビークルのみを投与した。前年度の結果からStx-im投与開始後17から24日目で消化管内の抗O157 LPS IgA抗体価が上昇すると仮定し、三週間の免疫期間をとり、その後チャレンジを行った。6週齢に達した各被験マウス群にO157:H7強毒株(SM耐性)を10^3CFU経口投与し、18時間後にマイトマイシンCを腹腔内投与した。通常、6週齢雄BALB/cマウスを用いた本感染実験系では、感染後6から14目でほとんどのマウスが死亡するが、今回のワクチン評価実験では、ワクチン群はもとより、K12およびビークル群でも死亡例が見られなかった。種々の条件を詳細に検討した結果、原因として二つの可能性が考えられた。ひとつはワクチン期間を設けた場合と設けない場合ではマウスの生長に差があり、SM投与期間を設けたマウスでは、そうでないマウスに比べ有意に体重増加が認められるため、この差がマウスのEHECに対する感受性を低下させたという可能性である。もう一つは、ワクチン期間を設けない感染実験では、糞便をSM入り培地で培養すると経口投与された大腸菌のみが検出されるが、ワクチン期間を設けた場合、SM飲水期間が長くなるとワクチン株以外のSM耐性大腸菌が出現しはじめるため、このSM耐性大腸菌が強毒株の定着を妨げている可能性である。以上の結果より、本感染実験系による直接的なワクチン評価は困難であると結論付けた。現在は抗体の誘導およびその中和活性等に焦点を絞り、Stx-imの有効性を検討中である。
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