2004 Fiscal Year Annual Research Report
新しいEBウイルスゲノム改変システムを用いたEBNA1蛋白質の機能解析
Project/Area Number |
16590381
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神田 輝 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助手 (50333472)
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Keywords | EBウイルス / 潜伏感染 / EBNA1 / 遺伝子置換 / 転写調節 / 大腸菌人工染色体 |
Research Abstract |
EBウイルス(以下EBV)のウイルス蛋白質EBNA1は、EBVのBリンパ球への潜伏感染時に常に発現し、ウイルスゲノムの複製・分配、さらにウイルス遺伝子の転写調節にも関わるとされている。研究代表者らは、独自に開発した大腸菌人工染色体(BACベクター)を応用したEBVゲノム改変システムを用いて、ウイルスゲノム上においてEBNA1遺伝子を転写不活性型の変異型(HMGI-EBNA1遺伝子)に置換した遺伝子置換型(ノックイン)EBVゲノムを作製した。このBACクローンのDNAをAkata細胞(バーキットリンパ腫由来)に導入して、HMGI-EBNA1ノックインEBVゲノムのみをエピゾームとして維持しているAkata細胞を樹立した。HMGI-EBNA1キメラ蛋白質の発現レベルをウエスタン法により解析したところ、野生型ウイルス感染細胞におけるEBNA1蛋白質の発現レベルと比較して、著しく低下していることが明らかになった。またHMGI-EBNA1ノックインウイルス感染細胞においては、抗イムノグロブリン抗体刺激によるウイルス産生が認められなかった。またEBNA1蛋白質の特異的結合配列であるoriP配列、BamHI Cプロモーター配列、ルシフェレース遺伝子を連結したリポータープラスミドをトランスフェクションしたところ、野生型EBV感染細胞では強いルシフェレース活性を認めるのに対して、HMGI-EBNA1ノックインウイルス感染細胞においては、活性がほとんど認められなかった。以上より、HMGI-EBNA1ノックインウイルスはエピゾームとして感染細胞内に維持されるものの、EBNA1蛋白質による転写調節を欠くことにより、ウイルス蛋白質の発現やウイルス産生などに異常をきたしている可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)