2005 Fiscal Year Annual Research Report
アルファヘルペスウイルス感染の体内動態:侵入から神経への感染初期の伝播経路
Project/Area Number |
16590388
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岩崎 琢也 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (90146027)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 智 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (30195630)
|
Keywords | 単純ヘルペスウイルス / インターフェロン / レセプター / ステロイドホルモン / 免疫組織化学 / ウイルス抗原 / 中枢神経系 / 末梢神経系 |
Research Abstract |
単純ヘルペスウイルス1型(HSV1)ならびに2(HSV2)型等のアルファウイルスは性行為等のヒトからヒトへの接触で感染が成立する。この接触により皮膚あるいは粘膜に侵入したウイルスがどのようにして神経に到達するかを解明するかを明らかにするために本研究を行った。 免疫機能正常のBALB/cあるいはC57BL/6、さらにInterferon α/βレセプター(Ifnα/βR)遺伝子を欠損(KO)雌マウスに予めDepo-Proveraを腹腔内投与し、4あるいは5日後にHSV-2実験室株である186株を外傷を加えることなく膣壁粘膜に接種し、経時的にウイルス増殖の動態を解析した。また、対照としてdepo-proveraを投与していない免疫機能正常マウスを用いて、ステロイドホルモンによるHSV2感受性の違いについて検討した。 Depo-Provera処理を行うことにより感染効率は100%となり、致死量を接種したマウスはすべて死亡するのに対し、非処理マウスの発症はない。免疫機能正常(WT)マウスとIfnα/βR-KOマウスにおけるウイルス接種後の経過はKOマウスがWTより麻痺ならびに死亡が1-2日早く進行する条件であり、HSV-2の体内伝播においてI型interferonが抑制的に作用することが明らかにされた。これまでに経膣接種後、HSV-2は膣粘膜の扁平上皮に最初に病巣を作製し、次に粘膜上皮下の末梢神経線維を経て、神経節に侵入する。さらに、脊髄に上行あるいは消化管・膀胱の末梢神経に遠心性に到達することを明らかにした。脊髄では後角細胞を経て、後索を上行する。ウイルスは扁平上皮細胞・神経細胞等では後期遺伝子産物のみならず、前初期遺伝子産物も発現するが、乏突起膠細胞等の一部の細胞では後者の遺伝子産物の発現のみが確認された。
|
Research Products
(4 results)