2004 Fiscal Year Annual Research Report
新型インフルエンザA型ウイルスの出現と感染伝播に関与するNA遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
16590390
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
鈴木 隆 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (20240947)
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Keywords | シアリダーゼ / インフルエンザウイルス / ノイラミニダーゼ / Low-pH安定性 / NA遺伝子 / 新型インフルエンザウイルス |
Research Abstract |
本研究は、1957年に出現したヒトH2N2型ウイルス株や1968年に出現したヒトH3N2型ウイルス株のNA遺伝子に見出された酸性条件下においてもシアリダーゼ活性を保持しているNA遺伝子が、ヒトやブタなどの哺乳動物におけるインフルエンザウイルスの感染、増殖、伝播にどのような役割を果たしているのかを明らかにすることを目的とする。そこで本年度は、クローン化したそれぞれのN2型NA遺伝子とlow-pH安定性を規定するアミノ酸部位を置換したN2型変異NA遺伝子のcDNAから、遺伝子操作系(リバースジェネティクス)によりA/WSN/33(H1N1)株の遺伝子を基盤にシアリダーゼ活性のlow-pH安定性のみが異なる4種類のインフルエンザウイルスを作製した。さらに、これらウイルスのMDCK細胞とマウス感染モデルにおける増殖性を比較し、NAの機能を共焦点レーザー顕微鏡とFACSにより解析した。 low-pH安定性を示すA/Hong Kong/1/68(H3N2)株とlow-pH安定性を示さないA/Texas/68(H2N2)株のNAと、これら親株由来のNAとはそれぞれ反対のlow-pH安定性を付与した変異NAをもつウイルスの感染増殖性は、MDCK細胞とマウス感染モデルにおいて顕著な相違を示した。すなわち、low-pH安定性を示すウイルスは、MDCK細胞とマウス感染モデル実験系において、low-pH安定性を示さないウイルスに比べ著しい感染増殖能をもつことが明らかとなった。さらに、共焦点レーザー顕微鏡とFACSによる解析から、NAはウイルス感染初期過程においても機能していることを見出した。この実験結果は、インフルエンザウイルス感染におけるNAのlow-pH安定性が新型インフルエンザウイルスの病原性に関与していることを示唆している。
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Research Products
(6 results)