2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590395
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
原田 志津子 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (10218646)
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Keywords | EBウイルス / ウイルス / 潜伏感染 / 核蛋白 / 転写活性化 / EBNA |
Research Abstract |
EBウイルスはヒトB細胞に潜伏感染し宿主に終生住み着くヘルペスウイルスであり、免疫抑制時に潜伏していたEBウイルスが様々の疾病や腫瘍の原因となると考えられる。本研究は、潜伏感染成立に必須の2つのウイルス核蛋白EBNA-2、EBNA-LPに焦点を絞り、各核蛋白の機能解析を通してEBウイルス潜伏感染の機構解明を目的とした。すでに我々は、EBNA-2が転写活性化因子としてウイルスや細胞の遺伝子を活性化し、EBNA-LPはEBNA-2の転写活性化を促進する補因子機能を持つことを報告してきた。そのメカニズムの解析過程でEBNA-LP自体の多量体形成能とEBNA-2との相互作用能を見いだした。詳細解析の結果、EBNA-2の酸性アミノ酸領域とEBNA-LPの作用が重要であることを明らかにして、両核蛋白の相互作用が協調的転写活性化の基になっていることを初めて実験的に証明し報告した(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2004)。さらに、野生型の転写活性化補因子機能に対しドミナントネガティブ効果を持つEBNA-LP変異体を発見し、昨年度はその変異体を発現するEBウイルス感染細胞を樹立した。今年度は、樹立した誘導発現細胞の細胞増殖などの特徴および宿主細胞遺伝子の変化を検索した。細胞周期G2/M期が遅延することや、mycやp53などのいくつかの細胞遺伝子の発現や活性が変化していることを示す興味深いデータを得た(投稿準備中)。このことはEBNA-LPが感染細胞増殖に正の働きをしていることを初めて実験的に示したことになる。ウイルス遺伝子ノックアウトなどの手法がとれない特殊事情を持つEBNA-LPのドミナントネガティブを使うことによって機能解析を可能にした点は画期的であると考える。
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Research Products
(4 results)