2004 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスの複製効率と薬剤感受性を規定するウイルス遺伝子領域の解析
Project/Area Number |
16590396
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
宮本 道子 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (40190821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇田 隆字 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (40280789)
加藤 孝宣 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (20333370)
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Keywords | HCV / レプリコン / インターフェロン / リバビリン / 肝臓癌 / 慢性肝炎 |
Research Abstract |
本研究の目的は、C型肝炎ウイルス(HCV)のレプリコンシステムを用い、HCVのRNA複製効率とインターフェロン(IFN)などの薬剤に対する感受性を規定するウイルスゲノムの領域を明らかにすることである。より効率の良いウイルス培養系の開発や、新たな抗ウイルス治療法の開発の可能性を探る。平成16年度は分子進化学的解析とレプリコンの手法を組み合わせることにより、ウイルスRNAの複製効率やウイルス複製の薬剤感受性に関与するウイルスゲノムの領域の同定を試みた。 複製効率の異なるレプリコンの遺伝子配列の比較による責任領域の推定: これまでの解析からHCV株のなかにレプリコンとして複製可能なJFH-1とJFH-2株の遺伝子配列を他の慢性肝炎患者由来株と比較すると、NS5Aの領域で最も変異が強いことがわかった。この領域はIFNの感受性に関係することが報告されているが、複製効率との関連は不明である。 キメラレプリコンおよび点変異導入ウイルスによるHCVの複製に関与する領域の同定: レプリコンとして複製効率の良いJFH1株と複製しないHCJ6株の各遺伝子領域を入れ替えたキメラウイルスを作製して、HCVの複製効率に関与する遺伝子領域を同定した。NS3のヘリカーゼ領域とNS5B領域が複製効率に大きく影響することが判明した。また、遺伝子配列の比較で変異の多かったNS5A領域は複製効率には影響しなかった。 IFNとリバビリンの抗ウイルス効果の評価: 臨床的には遺伝子型1bと2aでは明らかにIFNなどの治療に対する反応性が異なることが知られているが、その違いのメカニズムは全く不明である。IFNをレプリコン細胞に添加することによりウイルス複製を容量依存性に抑制することが可能であった。また、これまでリバビリンの作用機序はその変異誘導によると考えられていた。しかし、リバビリンをレプリコン細胞に添加するとウイルス複製は抑制されるが変異の誘導は観察されなかった。従って、リバビリンが直接ウイルス複製を抑制していることが示唆された。
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Research Products
(7 results)