2005 Fiscal Year Annual Research Report
粘膜固有層の形質細胞様樹状細胞による経口免疫寛容の成立機構の解明
Project/Area Number |
16590399
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣井 隆親 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80228824)
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Keywords | 粘膜免疫 / 粘膜固有層 / 経口免疫寛容 / 好酸球 / 樹状細胞 / 抑制性T細胞 / TGF-β / IgA |
Research Abstract |
本研究目的は、粘膜アレルギーの予防ならびに治療に応用可能な経口免疫寛容の誘導機序を解明することである。そこで腸管粘膜に存在する抗原提示細胞の中でも樹状細胞を中心に解析を行った。マウス小腸粘膜固有層に存在するCD11c陽性樹状細胞はミエロイド系樹状細胞(CD11b^+CD11c^+B220^-Gr-1^-)と形質細胞様樹状細胞(CD11b^-CD11c^+B220^-Gr-1^+)が存在していた。興味あることにこのCD11c陽性細胞は透過型電子顕微鏡観察による結晶化した顆粒を細胞質内に有しており、酵素染色にてペルオキシダーゼ反応や酸フォスタファーゼ反応が陽性であることから好酸球様の細胞であることが認められた。粘膜免疫におけるこの細胞の機能を検索するために、この細胞が有する表層抗原であるGr-1分子に特異的なモノクローナル抗体をマウスに投与して、Gr-1陽性細胞を除去したマウスにおいて経口免疫寛容の誘導機序を検討した。その結果、Gr-1陽性が存在しないマウスでは経口免疫寛容が誘導されないことが明らかとなった。一方、免疫抑制にはCD25^+CD4^+抑制性T細胞の存在も重要視されている。そこで抗CD25抗体を用いて先ほどと同様の実験を行った結果、CD25^+CD4^+T細胞が存在しなくても経口免疫寛容が誘導できることが明らかとなった。これらの結果をさらに検証するために、抗原感作(OVA)したマウスよりミエロイド系樹状細胞、形質細胞様樹状細胞と好酸球を抗CD25抗体で処理したマウスに移入し経口免疫寛容の誘導実験を行った結果、形質細胞様樹状細胞を移入した場合は経口免疫寛容を誘導する際には抑制性T細胞の存在が必須であるが、抗原にパルスされた好酸球を移入した場合には抑制性T細胞の存在は必要ないことが明らかとなった。またこの好酸球をcpGとFlt3-Lで培養することによって、樹状細胞状に形質変化しTGF-βを産生する抑制性樹状細胞に分化する。これらの結果は、経口免疫寛容の誘導機序には少なくとも2種類存在することを示している。すなわち、抑制性T細胞を必要とする形質細胞様樹状細胞からの誘導と抑制性T細胞が必要でない好酸球からの経口免疫寛容の誘導の存在が明らかとなった。
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Research Products
(9 results)