2005 Fiscal Year Annual Research Report
胸腺髄質上皮細胞の増殖分化と免疫寛容誘導機構の解明
Project/Area Number |
16590400
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 泰身 東京大学, 医科学研究所, 講師 (50327665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 純一郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70176428)
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Keywords | 自己免疫 / 胸腺 / NF-κB / TNFレセプター / T細胞 / リンパ器官 / TRAF / ストローマ |
Research Abstract |
本研究はTNF-receptor associated factor(TRAF6)欠損マウスで見られる胸腺構築異常と様々な臓器での炎症様細胞浸潤の関連を解析することで、胸腺構築、特に髄質上皮細胞の増殖分化の機構および胸腺上皮細胞による免疫寛容誘導のメカニズムを解明することを目的とした。本年度は、TRAF6欠損による髄質構築の異常と、免疫寛容に必須なCD4^+CD25^+制御性T細胞の分化の関連について検討した。 TRAF6欠損マウスの胸腺ではCD4^+CD25^+制御性T細胞の絶対数が著しく減少していた。CD4^+CD25^+制御性T細胞の減少は、生後3日齢から観察されており、TRAF6欠損マウスで観察される自己免疫疾患様の病態の一因であると考えられる。すなわちTRAF6は胸腺髄質上皮細胞による自己反応性T細胞の除去のみならず、末梢で自己免疫反応を抑制する制御性T細胞の胸腺内分化にも必須であることを発見した。今後、TRAF6欠損マウスなどを用いて、胸腺髄質上皮細胞と制御性T細胞分化の関連性について検討する予定である。 TRAF6により制御される胸腺髄質上皮細胞分化の分子メカニズム解明を目指して、胸腺上皮細胞におけるTNFレセプターの発現を網羅的に検討した。TRAF6の上流に位置しシグナルを伝達するレセプター候補を得ており、現在その詳細な検討を行っている。 さらに、胸腺以外のリンパ器官の構築を検討したところ、脾臓、パイエル板に構築異常を認めた。すなわちTRAF6は胸腺だけでなく、他の様々な2次リンパ器官の微細構造形成に必須な分子であることが判明した。今後は、それらの構築異常をさらに詳細に検討することで、生体防御免疫反応の新規な制御法の開発を目指す予定である。
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Research Products
(4 results)