2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体適合性高分子材料を基材としたマウス及びヒト人工リンパ節の構築とその応用
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16590408
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
末松 佐知子 独立行政法人理化学研究所, 免疫監視機構研究ユニット, 研究員 (50250345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 武 独立行政法人理化学研究所, 免疫監視機構研究ユニット, ユニットリーダー (40028684)
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Keywords | 人工リンパ節 / 人工リンパ組織 / 二次リンパ組織 / ストローマ細胞 / 高分子生体材料 / 抗原特異的抗体産生 / SCIDマウス |
Research Abstract |
我々は1)二次リンパ組織の発生と適応免疫誘導メカニズムの解明、及び2)免疫不全状態や悪性腫瘍などの治療への応用、の2つを目的として人工リンパ組織構築に関する研究を続けている。そして、人工リンパ組織構築のために必須であると仮定した3要素(ストローマ細胞、サイトカイン、及び、生体適合性高分子材料)に、さらに活性化した樹状細胞を組み合わせてマウスの腎皮膜下に移植する事により、移植後3週間で60-80%の移植組織に二次リンパ組織に類似した組織構造を構築する方法を開発した。 次に、この人工リンパ組織において抗原特異的抗体産生反応が誘導できるかどうかを検討した。人工リンパ組織構築に用いるレシピエントマウスをあらかじめ抗原で免疫しておき、その腎皮膜下に上記の3要素と当該抗原で活性化した樹状細胞を組み合わせて移植し3週間後に同じ抗原を尾静脈から投与すると、抗原投与後4日目には抗原特異的なIgG1抗体が人工リンパ組織に誘導されることをELISPOT(enzyme-linked immunospot)法により確認した。さらに、この人工リンパ組織は重症複合型免疫不全マウス(SCIDマウス)に移植することが可能であった。すなわち、人工リンパ組織をSCIDマウスに移植して抗原を静脈内投与すると速やかに人工リンパ組織内で抗原特異的IgG1抗体産生細胞が誘導されることが分かった。また、この時点でSCIDマウスの血中にはELISA(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay)により抗原特異的IgG1抗体が検出された。これらの結果は、抗原特異的抗体産生が確かに人工リンパ組織内で誘導された事を示すと共に、免疫不全状態に対する治療応用への可能性を示唆するものであると考えている。
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Research Products
(3 results)