2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590429
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Research Institution | NAGOYA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宮治 眞 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (80128678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 正崇 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80227991)
藤原 奈佳子 (久保 奈佳子) 名古屋市立大学, 看護学部, 助教授 (30178032)
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Keywords | 医療訴訟 / 医療事故 / 判決データベース / 図式化 / 最高裁判決 / 苦情相談センター / 電子カルテシステム / 医療管理 |
Research Abstract |
医療事故における裁判所の判決は重要な意味をもつと同時に、医療現場の背後の要因に影響を与える。共同研究者を中心に月1回の研究打ち合わせ会議を開催し、電子化された判決データベースに基づき、最高裁判決の分類の共通理解を深めた。現在、欧文誌への投稿準備中である。 次の3つの視点から研究を発展させた。 1.医療訴訟判決の内容を法的解釈の視点から分析するための図式化: 少なくとも最高裁判決は、物理的医療環境を要因とする判決はなく、むしろ急性病態時の対応判断が問われる傾向であり、同時に患者の側の真摯な訴えへの対応が重要な分岐点となった。 2.A県医師会における苦情相談センターに寄せられた内容の解析: 医師やコメディカルスタッフのインフォームドコンセント、それに基づくコミュニケーションスキルの重要性が示唆された。コメディカルスタッフにおけるインフォームドコンセントは論文化したが、一方では医療の側から苦情が増加している点も注目され、この点からの実態は現在投稿準備中である。 3.電子カルテシステムにおける医療事故への対応の実際的問題: 上記2つの成果の背景から本院で稼動しているシステムの開発過程における問題点の検討からシステム開発のあり方について論文化した。 このように研究を発展させるに際し、共同研究者間のみならず、他の様々な職種の方々の見解を参考にする必要性を感じ、薬剤師、企業人、病院院長、他大学他職種の方々と討議を行った。 いずれにせよ、判決を分類し、徹底的に解析することから現場へ波及される安全医療の視点は多様な対策を出すことが確認できた。電子カルテシステムにおける患者との医療情報の共有のみならず、保険診療や法律と倫理の関係も重大な課題と考えられた。医療事故に関わる医療管理の原則は裁判所の判決を適切に斟酌して対処すべき事柄であることも極めて重要な観点であるといえる。
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Research Products
(4 results)