2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳がん耐性蛋白BCRPのメチル化解析で抗がん剤の治療効果を投与前診断する
Project/Area Number |
16590437
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
塚元 和弘 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30253305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早田 宏 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (60244042)
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Keywords | 乳がん耐性蛋白BCRP / メチル化 / methylation-specific PCR(MSP) / 抗がん剤の治療効果の予測 / 遺伝子診断 / 塩酸イリノテカンCPT-11 / 肺がん / 大腸がん |
Research Abstract |
塩酸イリノテカンCPT-11の薬剤耐性に関与している乳がん耐性蛋白BCRP遺伝子の発現調節領域のメチル化の有無(メチル化では発現せず、非メチル化では発現する)を簡便に検出できるmethylation-specific PCR(MSP)法を開発した。昨年度はこのMSP法の有用性を細胞株を用いて検証した(in vitro)。 肺がん手術時の切除組織48例、大腸がん手術時の切除組織42例からDNAとRNAを抽出した。26例(54.2%)の肺がんで、12例(28.6%)の大腸がんでBCRP mRNAの発現を認めた。これらの症例をMSP法で解析した結果、一方の対立遺伝子はメチル化され、もう一方は非メチル化であった。そして、発現を認めなかった52例では両対立遺伝子ともメチル化されていた(in vivo)。つまり、in vitroでもin vivoでも、DNAを用いたMSP法によりBCRPの発現が予測できることを証明した。 次に、化学療法を行う前に15例の肺がん生検組織を収集し、MSP法で解析してBCRPの発現の有無を推測した。その後、個々の患者で行われた化学療法(CPT-11+CDDP or CPT-11+CBDCA)の治療効果と予測されたBCRP発現の有無間で相関解析を行った結果、BCRPが発現していないと予測した患者7例のうち5例は化学療法有効で、2例は無効であった。一方、発現していると予測した患者8例のうち1例は有効で、7例は無効であった。この予測遺伝子診断法の感度は83.3%で、特異度は77.8%であった(Fisher正確検定P=0.0406)。もっと症例数を増やすことで、BCRPの発現をMSP法で予測する遺伝子診断の信頼性がより高くなり、CPT-11の治療効果を投与前に予測できると思われる。
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Research Products
(3 results)