2005 Fiscal Year Annual Research Report
心血管薬の薬効評価システムの開発と臨床試験に向けた代替エンドポイントの評価
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16590439
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
植田 真一郎 琉球大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80285105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 辰也 琉球大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (50347142)
大屋 祐輔 琉球大学, 医学部, 助教授 (30240964)
浦田 秀則 福岡大学, 筑紫病院, 教授 (30289524)
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Keywords | 血管内皮機能 / 脈波伝播速度 / 遊離脂肪酸 |
Research Abstract |
1.メタボリック症候群、糖尿病における血管内皮機能障害実験モデルとして脂肪負荷アセチルコリンテストを開発した。インスリン抵抗性や内臓肥満をもつ患者では脂肪細胞からの遊離脂肪酸の血中への放出が増加している。増加した遊離脂肪酸は血管内皮機能を低下させ、動脈硬化を促進する。健常人に脂肪負荷を行うと血中の遊離脂肪酸が5倍程度に上昇する。その際アセチルコリン血管拡張反応は有意に低下しており、遊離脂肪酸による血管内皮機能低下が生じていると考えられた。この内皮機能低下はL-NMMAによるNO産生抑制時には起らず、従ってNOの産生低下を介した機序が示唆される。またビタミンC投与時には内皮機能は保持されることから、酸化ストレスの亢進も機序の一つと推定される。この系はメタボリック症候群、糖尿病における血管内皮機能障害の少なくとも一部を反映すると考えられるので、薬物介入の評価が可能である。 2.薬物介入としてレニン-アンジオテンシン(RA)系阻害薬のACE阻害薬とARBが遊離脂肪酸による内皮機能低下への影響を検討した。両薬剤とも単回投与により血管内皮機能の低下を予防した。この成績は遊離脂肪酸高値の環境下でのレニン-アンジオテンシン系薬剤使用の妥当性を支持するものであると同時に遊離脂肪酸による血管内皮機能障害にRA系活性亢進が関与している事も示唆している。またこの実験系でRho-kinase阻害薬ファスジルの効果も検討した。ファスジルは用量依存性に遊離脂肪酸による血管内皮機能低下を改善した。 3.脈波伝導速度(PWV)は本邦で開発された機器により簡便に測定できるため、心血管リスクのマーカーの一つとして使用されている。しかし予後との関連を示唆するデータは異なった測定法で測定されたものである。まず標準測定法との相関,再現性を検討した。またプレシスモグラフで測定した内皮機能との相関や脂肪負荷のPWVへの影響を検討した。結果として本邦での測定法によるPWVは欧州での方法による結果とよく相関し、再現性はむしろ優れている可能性がある。しかし内皮機能との相関は無く、脂肪負荷にも反応しないため代替法にはならないことが明らかになった。
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Research Products
(3 results)