2004 Fiscal Year Annual Research Report
カルシニューリン阻害薬による進行性腎間質障害の発症機序と治療戦略
Project/Area Number |
16590440
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
三浦 克之 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00183624)
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Keywords | クルクミン / 腎毒性 / 腎線維化 |
Research Abstract |
以前の我々の報告で炎症に関連の深い転写因子NF-κBの抑制によりシクロスポリンやタクロリムスなどのカルシニューリン阻害薬長期投与で生じた腎間質の炎症および線維化が著しく軽減されることを示した。本年度は腎間質線維化モデルであるラット一側尿管結紮モデルを用い、Rhoキナーゼの阻害により腎間質の炎症ならびに線維化がどのように影響されるかについて検討した。その結果、Rhoキナーゼの阻害薬であるファスジルの投与により腎皮質でのNF-κB活性、腎間質の炎症ならびに線維化関連分子の遺伝子発現が抑制されたことを示した。従ってRhoキナーゼの阻害薬の有効性に少なくとも一部はNF-κBの抑制が関与する可能性が示唆された。一方、同様の検討をタクロリムス慢性腎障害モデルで検討したが、尿管閉塞モデルとは異なり、Rhoキナーゼの抑制によっても間質の炎症や線維化に対して有効性は認められなかった。 次にクルクミンの腎間質線維化に対する有効性について検討を行った。クルクミンは従来よりAP-1の活性を抑制することが知られており、さらに腎尿管閉塞時に生じる線維化の際にAP-1のDNA結合活性が上昇することが知られている。そこで、ラット一側尿管結紮モデルを用い、クルクミンの効果をNF-κB阻害薬であるPyrrolidine dithiocarbamateと比較検討した。その結果、両物質はNF-κBの活性を有意に抑制するもののAP-1のDNA結合活性には影響を与えなかった。一方、腎間質におけるマクロファージの浸潤、マクロファージ走化因子のMCP-1 mRNAの上昇を抑制し、さらに線維化をも抑制した。この結果からクルクミンによる腎間質の炎症ならびに線維化抑制効果はNF-κBの抑制による可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)