2004 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症予防効果を有する免疫機能強化性亜鉛錯体の開発研究
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16590444
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
安井 裕之 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (20278443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 豊 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (20388028)
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Keywords | 敗血症予防薬 / 亜鉛錯体 / マルトール誘導体 / 体内動態特性 / 免疫機能強化作用 / 活性酸素種 / 一酸化窒素 / インビボ生体計測法 |
Research Abstract |
敗血症はグラム陰性菌などの感染が原因となり、細菌由来のリポ多糖によって誘導される高サイトカイン血症・急性免疫不全症である。多臓器不全に陥り死に至ることも多い感染症のため、臨床では問題となっている。申請者は、敗血症の新しい治療法・予防法として亜鉛に着目し、亜鉛化合物の前処置によって免疫系に影響をもたらし、敗血症による多臓器不全を予防できるかを目的として研究を行った。 本年度は、これまでの抗糖尿病亜鉛錯体の開発研究で得られた知見を活かして、リンパ球の免疫応答の改善により敗血症を予防する亜鉛錯体の開発を試みた。その中でも、亜鉛-マルトール誘導体錯体がインビトロ実験より有望であると見出されたので、続いて、インビボにおける評価系として錯体投与後の亜鉛の血中動態および組織分布を解析した。その結果、亜鉛-マルトール誘導体錯体は、配位子の脂溶性が上昇するほど亜鉛イオンと比べて血中から肝臓および腎臓への臓器移行性が有意に増加しており、薬理効果を発揮しやすいと考えられた。そこで、次に、亜鉛-マルトール誘導体錯体をリポ多糖投与による敗血症誘導ラットに前投与して生存率の改善効果を調べたところ、臓器移行性が高い錯体ほど致死抑制効果が促進されると分かった。 新錯体開発への方向づけを決める研究と共に、一方で、炎症時に体内で発生する活性酸素種(ROS)や一酸化窒素(NO)のレベルを生きている動物において計測する分析法の開発研究を行った。皮膚中のROSレベルを検出するインビボ化学発光画像検出法および、血中および肝臓中のNOレベルを定量するインビボ電子スピン共鳴法(ESR)を確立した。これらを用いて、炎症時において誘導生成されたROSについては、前投与した亜鉛化合物が抑制することを新たに見出した。現在、敗血症誘導ラットに亜鉛化合物を投与し、体内のNOレベルが変動するかを検討中である。 次年度は、将来への臨床応用への可能性を探るため、本年度の研究を継続すると共に、有望な錯体の投与による血中サイトカイン濃度の変動を解析すること、および致死抑制効果を統計的に評価することを追加していく予定である。
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Research Products
(7 results)