2005 Fiscal Year Annual Research Report
ビールホップ由来humuloneによる血管新生の制御とその応用に関する研究
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16590445
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Research Institution | THE TOKYO METROPOLITAN INSTITUTE OF MEDICAL SCIENCE |
Principal Investigator |
島村 眞里子 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (00124462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸部 広康 高知工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (30300643)
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Keywords | 血管新生 / humulone / cyclooxygenase 2 / 鶏卵漿尿膜 / 血管内皮細胞 / 抗腫瘍作用 / 転移 / 腫瘍細胞 |
Research Abstract |
血管新生は、固形癌、関節リウマチ、糖尿病性網膜症を代表とする眼科的疾患、乾癬等の多くの難治性疾患に必須な過程であり、その病因、病態の悪化に密接に関連している。これらの疾病では効果的な治療法が少なく、強力で特異的な血管新生阻害物質は有力な治療薬や予防薬となる可能性が期待できる。申請者は、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の強い酵素活性の阻害と核内転写因子NFkappaBを介する最強の転写活性の阻害(IC50:30nM)を同時に持つビールホップの苦味成分humuloneが、鶏卵漿尿膜および血管内皮細胞の測定系で濃度依存的に強く血管新生を阻害することを見出し、本研究でhumuloneとその関連物質および誘導体を用いて、COX-2の酵素活性および転写活性を同時に制御する、天然物由来で強力かつ経口投与の有効な血管新生阻害物質の探索を行った。 昨年度は、各動物種の血管内皮細胞に対する増殖阻害効果について詳細に検討し、bFGFとVEGFの血管新生促進因子および血清によって誘導される内皮細胞の増殖に対し、Humuloneが全て強い抑制効果を示すことを明らかにした。一方、in vivoのassay系である鶏卵漿尿膜法によってhumuloneの誘導体の血管新生阻害作用を確認したが、humuloneに最も強い阻害効果が認められた。このためhumuloneを大量に合成し、腫瘍細胞が誘導する血管新生に対する阻害作用を検討した結果、humuloneは比較的少量の腹腔内投与によって、Lewis lung carcinoma(LLC)細胞がマウスの背部皮下に誘発する血管新生を強く阻害した。この実験によりin vivoの効果が確認されたので今年度は抗腫瘍作用を検討した。LLC細胞の皮下移植によるマウスの肺への自然転移に対し、経口あるいは腹腔内に投与したhumuloneは阻害活性を示した。一方、がん細胞を静脈内投与した実験転移では阻害活性は認められなかった。これらより、humuloneは血管新生阻害を機序とするがん治療剤への応用の可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)