2004 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞に発現するNotch蛋白の機能解析による予後予測法
Project/Area Number |
16590446
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東田 修二 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80251510)
|
Keywords | Notch / 白血病 / Jagged / Delta |
Research Abstract |
急性骨髄性白血病患者12名から採取した白血病細胞を用いて、Notchシグナル活性化の、白血病細胞の増殖、自己再生、分化に対する作用を検討した。Notchリガンドであるrecombinant Jagged1蛋白やDelta1蛋白により、白血病細胞上のNotch蛋白を活性化させたところ、細胞増殖は、4例で促進、4例で抑制が認められ、4例では有意な変化がなかった。自己再生能は、抑制されるものや有意な変化がないものが認められ、促進されるものはなかった。一部の白血病細胞では単球様細胞への分化が認められた。このように、Notch活性化は患者検体ごとに多様加作用を及ぼすことがわかった。正常造血細胞に対してNotch活性化は自己再生能を亢進することが報告されている。これらより、Notchシグナルの制御は白血病に対する新たな分子標的治療となる可能性を見い出した。なお、患者の化学療法感受性や予後と、Notchリガンドに対する反応性とは、現時点では有意な関連性が認められておらず、今後、検討症例数を増やす予定である。(Experimental Hematology : in press) また、われわれは、急性前骨髄球性白血病細胞のレチノイン酸による好中球分化とアポトーシス誘導が、Notchシグナル活性化によって、単球様に分化の方向性が変わり、アポトーシスが軽減することがあるごとを見い出した。この作用がみられた細胞では、レチノイン酸によるカスパーゼとPARPの活性化を、Notchシグナルが抑制することを見い出した。こうした現象は、急性前骨髄球性白血病に対するレチノイン酸療法の、感受性の個人差に関与する可能性がある(Leukemia Research 2005)。さらに、種々の白血病細胞株を用いて、TNF-αやGM-CSFによるアポトーシス誘導を、Notchシグナルが抑制することを報告した。
|
Research Products
(5 results)