2004 Fiscal Year Annual Research Report
組織適合抗原テトラマーを用いた臓器移植患者の抗ヘルペス属ウイルス免疫能解析と応用
Project/Area Number |
16590454
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
工藤 豊一郎 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80324622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江川 裕人 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40293865)
一山 智 京都大学, 医学研究科, 教授 (30223118)
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Keywords | 組織適合抗原 / テトラマー / サイトメガロウイルス / EBウイルス / フローサイトメトリー / 細胞障害性リンパ球 / CD8 |
Research Abstract |
ウイルス感染を制御する重要な細胞としてCD8陽性細胞障害性T細胞(以下CTL)が知られている。このうち特定の抗原ペプチドに反応するCTLを織適合抗原テトラマー(以下HLAtet)で検出できる。これはヒト組織適合抗原の細胞外ドメインと抗原ペプチドを試験管内で合成し立体的に再構築したもので、CTLのT細胞受容体に結合する。HLAtetは同時に蛍光色素で標識されており、モノクロナール抗体と同様にCTLの染色とフローサイトメーターによる定量を可能にする。 肝移植患者は術後に免疫抑制療法を必要とし、易感染性を示す。ことにサイトメガロウイルス(以下CMV)やEpstein-Barrウイルス(以下EBV)の感染症を合併しやすい。これらのウイルス感染は移植成績を悪化させる。感染を制御する上でこれらのウイルスに対するCTLの動態を把握することが重要である。 我々は生体肝移植患者の血中CMV量ならびにEBV量を測定しつつ、これらを制御する抗原特異的血中CTLをHLAtetを用いて観察し、HLA A^*0201由来CMV-NLVなどのHLAtetが末梢血中に高頻度に抗原特異的CTLを見出しうることを報告してきた。 本年度はHLA A^*0201の2例、A^*2402の2例でHLAtetを応用した特異的CTLの分離・培養を試みた。総リンパ球およびCD8陽性T細胞の培養は可能であるが、HLAtetを用いて抗原特異的CTLを分離するに至っていない。原因として、小児例を対象とするため少量の臨床検体を用いるための技術的困難、臨床検体のリンパ球含有率の変動などによる不安定さが考えられる。安定して抗原特異的CTLが得られるための最適化を進めている。
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