2005 Fiscal Year Annual Research Report
尿中ジアセチルポリアミンによる早期癌の発見と活動度の判定
Project/Area Number |
16590471
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization For Medical Research |
Principal Investigator |
平松 恭子 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (80181189)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川喜田 正夫 工学院大学, 工学部, 教授 (00012740)
|
Keywords | polyamines / ELISA / tumor marker |
Research Abstract |
ポリアミンは、細胞増殖と深く関連している物質であり、腫瘍マーカーとしての応用の可能性が長年検討されてきた。現在でも、尿中総ポリアミンが腫瘍マーカーとして臨床検査項目に記載されているが良性疾患の疑陽性率が高いために、評価は低くほとんど利用されていない。 我々はこれまでHPLC法によるポリアミンの分画測定法を確立し、ヒトの尿中に新規のポリアミン成分N^1,N^<12>-diacetylspermine(DiAcSpm)を見出し、健常人において、総ポリアミン量の約0.4%という微量成分であるにもかかわらず、これまでの尿中総ポリアミンと比較して、格段に良く病態と相関する指標であることを示した。我々はDiAcSpmの臨床応用を目指して、多数の検体を処理することができるELISA法を確立し、この方法を用いてDiAcSpmの腫瘍マーカーとしての性能について検討を進めている。本研究においては、大腸癌、乳癌を中心に検討した結果、従来の研究結果ともあわせて、DiAcSpmが汎用性の腫瘍マーカーであり、また、陽性率が既存マーカーより高いことを明らかにした。特に大腸癌において、DiAcSpmは早期大腸がんに対して60%の高い陽性検出率を示すことが明らかになった。これは、便潜血検査と匹敵する高い感度であり、注目すべき結果である。また、尿中DiAcSpmレベルは治療効果を反映して低下する一方、再発に伴って上昇する傾向があり、大腸癌の病勢をよく反映した変動を示すことも示唆された。我々はこのことに注目し、現在多数の大腸癌患者の長期にわたる経過観察を行なっている。さらに、現在良い腫瘍マーカーが知られていない脳神経領域の悪性疾患についても予備的な検討を進めた結果、グリオーマについては、悪性度とDiAcSpm値との関連性があり、リンパ腫についても、同様に腫瘍マーカーとしてかなり有用であることを示唆する結果を得た。
|
Research Products
(5 results)