Research Abstract |
硬骨魚類では,骨は固定された組織であり,ウロコの方が,Caの急激な変動により応答するとされていることに注目し,哺乳動物の骨芽細胞・破骨細胞の相互関係を検討するモデルとなりうるかについて検討した。骨芽細胞は,正常ウロコの体内部位では,各ウロコの底辺にのみ局在し,それ以外の部位では細胞は骨細胞の形態を示した。また,皮膚被覆部では,皮膚最内側に一層の骨芽細胞が発現しており,この部位からウロコに向かって供給されている像が得られた。破骨細胞は皮膚被覆部の側辺でのみ共存し,側方への過剰延長を抑制的に制御していることが明らかになった。また,骨芽細胞は体内ウロコでの供給は底辺以外にはなかったが,創傷部位への破骨細胞の浸潤が認められた。また,再生ウロコにおいては底辺で,破骨細胞による間隙の作成と同部位への骨芽細胞の侵入による活発な再生像が確認されたほか,鱗溝の作成にも破骨細胞が強く関与することが見い出された。また,VitDやcalcitoninなどのホルモン類に対する応答も哺乳動物の骨芽細胞・破骨細胞と一致しており,今後骨芽細胞・破骨細胞の相互関係のみならず,骨細胞との関連計測モデルとしても使用できる目処がたった。一方,VitK2を多く含む納豆を毎週定期的に摂取することが,閉経前期女性で骨形成マーカーや骨密度の維持に有用であることや,VitK2を骨芽細胞に投与すると増殖が抑制されるとともに,骨形成マーカーであるosteocalcin,osteoprotegrin,NF-kB ligand(RANKL)などが強発現することから,従来言われているosteocalcinをGla化することで骨代謝に関与するばかりでなく直接的に,骨への分化を促進する作用のあることを明らかにし報告した。
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