2005 Fiscal Year Annual Research Report
QOL関連遺伝子の同定:百寿者と双生児をモデルとして
Project/Area Number |
16590482
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高山 美智代 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60265824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 進 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20296586)
田崎 美弥子 東京理科大学, 理学部, 助教授 (50256658)
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Keywords | QOL / パーソナリティ / 遺伝素因 / 双生児 |
Research Abstract |
【目的と方法】今年度は、双生児の主観的QOL調査と性格調査をおこない、QOLに関連する性格プロフィールの検討および卵性の影響を検討した。主観的QOLの評価にはWHO-Bref調査票(26問)を、性格の評価にはNEO-FFI調査票(60問)を用いた。アンケート調査はすべて郵送でおこなった。約750組の双生児にアンケート調査用紙を郵送し、138名から回答を得た。 【結果】回答者の内訳は、双生児ペアが44組(88名)、双生児のうち片方(1人)のみが50名であった。44組の双生児のうち一卵性29組、二卵性15組であった。データ欠損値のため無効となった回答が1組(一卵性)あり、最終的に136名を有効回答者とした。 QOL平均値(標準偏差)は3.4(0.6)で性別と卵性による有意差はなかった。 NEO-FFIでは、神経症傾向(N)、外向性(E)、開放性(O)、調和性(A)、誠実性(C)の5要素の平均値(標準偏差)はそれぞれ、Nが25.1(5.2)、Eが21.8(6.4)、Oが22.5(3.5)、Aが16.6(5.7)、Cが20.5(5.0)であった。性別と卵性による有意差はなかった。 双生児ペア43組に限定してペア間で(1)QOL平均値、(2)4領域(身体的領域、心理的領域、社会的関係、環境)毎のQOL値、(3)性格の5要素をそれぞれ比較したが、いずれも有意差はなかった。 性格の5要素(N、E、O、A、C)の中でQOL平均値に影響を与える因子を検討するためにステップワイズ回帰分析を行った結果、NとEが有意な寄与因子として検出された(N;相関係数(r)=0.54,標準回帰係数(β)=0.384,E;r=-0.519,β=-0.346,R^2=0.387,p<0.01)。 対象を双生児ペアに限定すると、この傾向はより強調された(N;r=0.573,β=0.411,E;r=-0.521,β=-0.299,R^2=0.391,P<0.01)。対象を一卵性ペアに限定した解析では、QOLに影響を与える性格要素が若干異なり、N、A、Cの3つが有意な寄与因子として検出された(N;r=0.777,β=0.611,A;r=-0.487,β=-0.172,C;r=-0.520,β=-0.282,R^2=0.705,p<0.01)。遺伝的素因が類似するほど、Nが正の寄与因子としてQOLにより強く関わる点が興味深いと思われた。今後、さらに対象数を増やして、QOLに関連する性格プロフィールおよび遺伝素因の影響を調査する予定である。
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