2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590482
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高山 美智代 Keio University, 医学部, 助教 (60265824)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 進 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20296586)
|
Keywords | 高齢者 / QOL / WHOQOL-OLD / パーソナリティ / NEO-FFI |
Research Abstract |
【目的と方法】高齢者の主観的QOL社会背景因子ならびにパーソナリティ(性格5因子:神経症傾向、外向性、開放性、調和性、誠実性)を調査した。主観的QOLの評価にはWHOQOL-OLD(24問)を用いた。社会背景因子の評価には、年齢、性別、同居家族、学歴、就労状況、経済状況、家族関係、主観的健康観、羅病状況と服薬状況、嗜好品に関する質問票(18問)を用いた。パーソナリティの評価にはNEO-FFI(60問)を用いた。調査方法は、郵送または手渡しによるアンケート形式で、自分自身でアンケートを読み回答することが可能な70歳以上の高齢者86名(男性46名、女性40名、平均年齢76.6±5.2歳)を対象とした。【結果】WHOQOL-OLDは、6領域(感覚能力、威厳、過去・現在・未来の活動、社会参加、死と死にいくこと、他者との親密さ)で評価される。すべての領域で男女差は認めなかった。全体のQOL(平均±標準偏差)は3.4±0.5点で、威厳、感覚能力に関するQOLが高く(3.9±0.5点、3.6±1.0点)、死と死にいくこと、他者との親密さに関するQOLは低かった(3.1±1.0点、2.9±0.7点)。社会背景因子では、独居の割合が女性で有意に高く、高学歴と有労働者の割合が男性で有意に高かった。NEO-FFIでは、性格5因子が評価される。神経症傾向、外向性、誠実性に関して男女差はなかったが、開放性は女性で有意に高く、調和性は男性で有意に高かった。QOLと社会背景因子の関係は、男性では「家族関係が良好」と正相関(決定係数R^2=0.36、標準化係数β=0.61、p<0.001)、女性では「独居である」と正相関(R^2=0.36、β=0.43、p<0.05)を認めた。QOLと性格5因子の関係は、男性では外向性と正相関(R^2=0.32、β=0.36、p<0.05)、女性では神経症傾向と負相関(R^2=0.63、β=-0.59、p<0.001)、開放性と正相関(R^2=0.63、β=0.23、p<0.05)を認めた。【結語】高齢者のQOL規定因子は男女で異なることが示された。生活環境では男性では「家族関係が良好なこと」が高いQOLに関係しており、女性では「独居であること」が高いQOLに関係するという男女で異なる結果を認めた。料理などの潜在的家事能力の男女差が影響している可能性がある。パーソナリティの面では、女性において抑うつ予防がQOL改善に寄与する可能性が考えられた。
|