2004 Fiscal Year Annual Research Report
鉛曝露による自覚症状と自律神経障害のベンチマークドースを用いた影響評価
Project/Area Number |
16590485
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
苅田 香苗 帝京大学, 医学部, 講師 (40224711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
村田 勝敬 秋田大学, 医学部, 教授 (80157776)
中尾 睦宏 帝京大学, 医学部, 助教授 (80282614)
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Keywords | 鉛 / 自律神経障害 / 影響評価 / ベンチマークドース |
Research Abstract |
1.鉛曝露による自律神経系への非顕性影響を調べる目的で、鉛則特殊検診の対象となっている鉛取り扱い作業者129名と鉛非曝露の事務系労働者60名を対象に重心動揺計を用いて平衡機能の評価を行った。重心動揺の計測はCATSYS2000を用い、対象者をフォースプレートの上に直立姿勢で楽に立たせ、開眼・閉眼の順でそれぞれ60秒間足底圧の垂直作用力(重心)を検出し、左右・前後動揺の軌跡長、重心軌跡外周面積を計測した。 鉛作業者では前後動揺は閉眼時に、また左右動揺は開眼・閉眼時ともにコントロール群より有意に大きく、重心軌跡外周面積と各指標のロンベルグ比(閉眼/開眼)も有意な増大を示した。年齢や身長などの交絡因子を調整した重回帰分析では、周波数帯域1〜2Hz、2〜4Hzにおける前後および左右動揺軌跡長ともに血中鉛濃度との間に有意な関連が認められた。本研究より重心動揺に影響を及ぼす血中鉛のベンチマークドースは、12.5〜17.9μg/dlと推計され、わが国で勧告されている血中鉛の生物学的許容値(40μg/dl)より低値であることが示された。 2.交替制勤務のあるデスクワーク(情報産業)に従事する男性労働者413名を対象に、自覚症状および勤務形態・勤務歴、現病・既往歴、飲酒・喫煙習慣、その他自律神経障害の交絡因子に関する情報を自記式質問票と産業医を通しての面接により収集した。さらに職業性ストレス要因の測定尺度として、自記式質問票のJob Content Questionnaire(JCQ)を用い、仕事上の要求度、裁量度、支援度を測定するとともに、医師が健康感・ストレスに関する問診を行い、自覚症状有訴者にはハミルトン抑うつ評定法により気分状態を判定した。現在結果を解析中であり、次年度には鉛曝露と過重労働によるストレスとの両視点から、労働者の自律神経機能への影響評価を行う予定である。
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Research Products
(1 results)