2005 Fiscal Year Annual Research Report
鉛曝露による自覚症状と自律神経障害のベンチマークドースを用いた影響評価
Project/Area Number |
16590485
|
Research Institution | Teikyo University School of Medicine |
Principal Investigator |
苅田 香苗 帝京大学, 医学部, 講師 (40224711)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
村田 勝敬 秋田大学, 医学部, 教授 (80157776)
中尾 睦宏 帝京大学, 国際教育研究所, 助教授 (80282614)
|
Keywords | 鉛 / ベンチマークドース / 影響評価 |
Research Abstract |
1)鉛取り扱い作業者の健康悪影響を予防・早期発見するために、平衡機能に影響が現れ始める曝露濃度を、ベンチマークドース(BMD)法を用いた「閾値なし」モデルにより再評価した。 重心動揺計(Catsys2000)で計測した鉛取り扱い作業者121人の平衡機能は、開眼時の前後方向(正中面平行)の揺れを除きコントロール群と比較して軌跡長が有意に大きく、動揺が大きいことが観察された。閉眼時の前後及び左右方向の軌跡長は、血中鉛濃度と有意な正の相関があり、平衡機能異常に対する血中鉛のBMDL(BMDの95%信頼区間の下限値)は平均で14.4μg/dl(0.69μmol/L)と推計された。われわれが先に報告した各種貧血指標に対する血中鉛のBMDL19.4〜29.6μg/dlよりさらに低値であることがわかった(Karita K et al. Risk Anal.2005)。 2)鉛作業者の自覚症状項目(鉛則規定)のうち、最も多かった訴えは「疲れやすい」であった(17%)。 自覚症状を訴えた群では交替制勤務者の割合が高く、また鉛中毒症状に関する知識得点が低く、血中鉛平均35μg/dl程度の作業者では、鉛健診の際の自覚症状の訴えに鉛曝露量は反映されていないことが明らかとなった。 3)交替制勤務のある男性オフィス・ワーカー401人について、過重労働や職業性ストレスが自律神経機能(心拍変動成分)に及ぼす影響を調査したところ、JCQ(Job Content Questionnaire)による「仕事の要求度」は、過重労働時間と正の相関が、副交感神経機能とは負の相関が認められた。 またわれわれは、自律神経機能指標となる心拍変動成分が、非鉛曝露労働者では自覚症状や交替制勤務の有無により変動することを示したが(Karita K et al., Int Arch Occup Environ Health. In press, Murata K et al.,2005)、血中鉛35μg/dl前後の鉛取り扱い作業者では、有意な量影響関係は認められなかった。 BMDによる鉛曝露の交感及び副交感神経機能の評価については、さらに検討を続ける必要がある。
|
Research Products
(6 results)