Research Abstract |
鳥取県内の中学校,高等学校21校,男子3,069人,女子3,464人,合計6,533人に対し,喫煙,飲酒,薬物乱用行動実態と望まない妊娠,性行為感染症などの健康リスク行動について,その原因となる日常生活を取り巻く環境の要因,価値観,態度,生活習慣などの前提要因,大人社会の見方や周辺の人間関係を含む強化要因などの項目を質問紙法により調査した.喫煙,飲酒行動については,1998年に行った調査の変化を把握すると同時に,容認的態度を含む規範意識が喫煙・飲酒行動とどのように関連するかについて検討した. その結果,喫煙・飲酒行動は,学年が進むにつれて高くなったが,1998年の調査と比較すると両者の行動率はともに有意に低下した.飲酒行動と喫煙行動については,両者間にr=0.48(P<0.01)の高い相関関係が見られ,両行動の主成分を抽出して問題行動とした.日常の意識や態度に関しては,自己効力感,自己中心的態度,不安,流行同調,規則・約束が,規範意識に関しては,容認的態度,空間占有,常識的規範意識が,また大人社会に対する児童生徒の意識に関しては,大人社会と解釈された. 抽出された因子得点の年齢と性別の影響を取り除いた偏相関係数は,問題行動と容認的態度の間でr=0.52(P<0.01),容認的態度と流行同調との間でr=0.51(P<0.01)であった. 問題行動と容認的態度,流行同調を潜在変数として,学年差を考慮した同時多母集団を想定した構造方程式を作成した結果,この配置不変モデルは高い適合度を示した.本モデルでは流行同調態度が容認的態度を形成する一要因となり,さらに,容認的態度が問題行動を引き起こす重要な役割をしていることが明らかとなった.
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