Research Abstract |
今後の飲酒・喫煙・薬物乱用防止教育に生かしていくことを目的として,鳥取県内の中学校10校(2,635人)と高等学校11校(3,898人)の生徒を対象に,飲酒・喫煙・薬物乱用に関する調査を無記名自己記入式質問紙法により実施した. 自己効力感,規範意識,友人は相互に関連性が見られ,自己効力感の高い者は友人関係が良好であり,規範意識も高い傾向であることが示唆された.喫煙と飲酒は関連性が強く,規範意識は喫煙行動と飲酒行動に強い影響を与えていることが明らかとなった.しかし,規範意識,勧誘に対する意識(拒否的な態度)において,飲酒,喫煙,薬物乱用の学年別の回答パターンは異なっていた.すなわち薬物乱用は,身体への影響が大きく,反社会的な行動であることを生徒は理解していて,規範意識,拒否的な態度は薬物乱用が最も高く,次いで喫煙,飲酒の順であった.飲酒の場合,「見つからなければしてもよい」という回答が,学年が上がるに従って増加し,高3の男子で60%,高3の女子で54%にみられた.「勧められたらどうしますか」という質問に対して,「してしまうかもしれない」,「一緒になってする」という回答が増加し,高3では上位を占めていた.喫煙については,勧められたら「一緒になって喫煙する」という回答が,学年が上がるに従って増加した.飲酒や喫煙,薬物乱用といった問題行動に関しては,規範意識の欠如,親の意見や家庭環境の容認的態度が問題行動を引き起こす重要な役割をしていることが明らかとなり,小学校からの保護者を含めた社会環境全体に対する問題行動の予防対策を強化することにより,未成年者に対するより効果的な飲酒,喫煙,さらに薬物乱用の予防が期待できると考えられる.
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