Research Abstract |
集団検診レベルの糖尿病のスクリーニングとして,空腹時血糖値が最もよく用いられている.簡易な方法であるためスクリーニングには適している反面,空腹時のみの血糖値に基く判定であるために,見落としも多い.当研究では,もうひとつの糖尿病スクリーニングの指標であるHbAlcに着目し,空腹時血糖値の基準値ごとに,スクリーニングの診断と空腹時血糖値との診断の正確さを比較し,糖尿病患者の早期発見のための望ましいHbAlc基準値を明らかにする.現時点では,HbAlc≧6.5%という基準が,空腹時血糖と同等の正確さをもつが,特異度が高く感度が低い基準であるため,新規患者の発見のためには,正確さを生かしきっていない可能性が高い.今回の研究の骨子は,この基準をHbAlc≧6.0%まで段階的に下げたときの,正確さの変化と,新患者発見のための寄与を見ようというものである. 平成16年度は,この計画の基礎固めと,データ収集に費した.第一に名古屋市立大学大学院医学研究科倫理審査委員会に申請し,研究の承認を受けた.実施に当たっては年間受診数が約6,000である検診機関において,糖尿病の既往を持たない受診者に受診時に研究参加を呼びかけ,賛同の得られた受診者を対象に(1)研究参加の承諾書(インフォームドコンセント),(2)75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の予約を依頼する(対象A).次に,賛同の得られなかった集団から,空腹時血糖値110mg/dl以上,あるいは,HbAlc値6.0%以上であったものについて,糖尿病新規発見の意義を説明し,再度,研究参加を呼びかける.ここで同意が得られた受診者には上記と同様に(1),(2)を依頼する.ここで,個々のスクリーニングの正確さを評価するのに必要な集団がAであり,空腹時血糖値とHbAlc値との相対的な診断能力の評価に必要な集団がBである.平成16年度はA200例を収集した.また,上記の流れを組織化し,受診者に郵送で結果を送付するシステムを整えた.
|