2005 Fiscal Year Annual Research Report
推定体積骨密度による小中学生の腰椎・大腿骨近位部骨発達の追跡3年間の完遂
Project/Area Number |
16590523
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
伊木 雅之 近畿大学, 医学部, 教授 (50184388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 淳子 近畿大学, 医学部, 講師 (90326356)
池田 行宏 近畿大学, 医学部, 助手 (20368294)
中 比呂志 京都教育大学, 教育学部, 助教授 (00217639)
佐藤 裕保 天使大学, 看護栄養学部, 講師 (10337115)
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Keywords | 推定体積骨密度 / 最大骨量 / 腰椎骨密度 / 大腿骨近位部骨密度 / 青少年 / 思春期 / 決定要因 / コホート研究 |
Research Abstract |
平成16年度は予定通り追跡調査を実施し、個人宛の結果報告とS町宛の全体報告を行い、17年度は腰椎、大腿骨近位部の骨発達の様相を、体積骨密度を用いて正しく評価すると共に、その決定要因を前向きコホート分析によって明らかにすることを目的として詳細な検討を行った。 初回の受診者585人から転居者15人を除く570人中、現中学生264人(89.5%)、現高校生168人(61.1%)の計432人(75.8%)が受診した。学年別に見た面積骨密度はいずれの部位でも男子では高校生でやや上昇速度が鈍るものの小4から高3までほぼ直線的に上昇し、女子では高校生ではほとんど上昇を認めなかった。腰椎の体積骨密度は男子では小4から低下し、小6で最低、その後上昇し、女子では一貫して上昇していた。身長、腰椎骨塩量、腰椎面積骨密度、腰椎体積骨密度の年間変化率を性別学年別に求めると、男子では前3者の変化率のパターンは類似し、いずれもピークは小6から中1に見られ、体積骨密度の変化率のピークは中2から中3に認められた。女子は各ピークが男子より約2年早く起こり、体積骨密度変化率のピークの遅れも認められたが、男子ほど明瞭ではなかった。骨密度変化率に影響する要因の検討をしたところ、体重、牛乳摂取、運動時間が骨密度上昇を大きくする側に働いていた。 以上より、成長期には体積骨密度の上昇が身長の増高に遅れて起こるため、成長のピーク時には骨強度が相対的に低下する可能性があり、これが中学生男子における骨折率の一時的上昇の一因であることが示唆された。部活動では成長に伴って強い負荷の運動をさせがちだが、急速な成長期には骨発達が追随できていないので、過重な運動は避けるべきである。また、骨塩量変化は男子では中学生、女子では小学校高学年でピークを迎えるので、この時期に適切な対策、すなわち、標準体重の維持、十分な牛乳摂取、適切な運動指導を行うべきである。 本研究の一部は第27回アメリカ骨代謝学会で発表した。
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