2004 Fiscal Year Annual Research Report
心臓性突然死における上部心室中隔内微小循環障害の意義に関する研究
Project/Area Number |
16590533
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
西田 尚樹 秋田大学, 医学部, 助教授 (10315088)
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Keywords | 心臓性突然死 / 心筋虚血 / 心室中隔 / 画像解析 / 刺激伝導系 / 免疫染色 |
Research Abstract |
過去10年間に施行された司法、承諾解剖から、死後経過時間48時間以内で、心臓性突然死と考えられる約50例を抽出し、本年度はその内に約20例につき、1)冠状動脈に有意狭窄を有し、その還流域の心筋に急性虚血性変化を認める、または動脈内に血栓ないし粥腫破綻を証明した例。2)冠状動脈に有意狭窄を認めるが、心筋の急性虚血性変化、動脈内血栓、粥腫破綻が証明されない例,3)冠状動脈に有意狭窄を認めない例に分類し、さらに死因が心臓性突然死ではないことが明らかとなっている約10例の剖検心を対照例として、以下の検索を行った。乳頭筋レベルの心筋を前壁、側壁、後壁、中隔、右室に分け、さらに房室伝導系を含む上部心室中隔(SVS)を切り出し、(1)心外膜下を走行する房室結節動脈、(2)房室結節、(3)中心線維体内を走行するHis束、(4)房室中隔頂部の左右脚分岐部、(5)左右の脚をそれぞれ同定した。さらにそのElastica-Masson染色標本を顕微鏡に付設したデジタルカメラからコンピューターに取り込み、心臓内各部位の面積を計測後、標本中の小動脈数を算出し、単位面積あたりの小動脈分布密度を算出した。またSVSについては、前項に記載した5カ所の切片を用い、同様の作業を行った。SVSを含めた心筋内各部位につき、内皮細胞のマーカーであるCD31を用いて、マイクロウェーブ処理による抗原不活化を行った後、SAB法による免疫染色を行う。その後、画像解析ソフト下で単位面積あたりの陽性細胞数を算出した。また各例の房室結節動脈を心外膜下、房室結節内の2点で、画像解析によりその狭窄度を求めた。狭窄度は動脈全体の面積、内腔面積を計測し、狭窄度=1-(内腔面積/全体面積)の式により算出している。次年度は対照例を増やし、検索事項について統計学的に突然死群と対照群の比較を行う予定である。
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