2004 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素による虚血・中毒・感染症の病態・保護の分子機構に関する研究
Project/Area Number |
16590534
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上村 公一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30244586)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 謙一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40166947)
|
Keywords | 一酸化炭素 / 虚血 / 細胞死 / カルシウム |
Research Abstract |
虚血は一般に、細胞内にカルシウムを流入させ、カルパイン活性化を引き起こし、その結果、ネクローシスを中心とした心筋細胞死を惹起するといわれている。私たちは、一酸化炭素(CO)が虚血細胞死を抑制することを既に報告している。本科学研究費補助金による研究では、さらに、COによる虚血細胞死抑制の機構について研究している。 ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)は細胞に一般的に発現しているが、薬剤・ストレスなどにより、発現が増加し、細胞保護的に働くことが知られている。また、HOはヘムを分解して、CO、ビリルビンを生成する。本年度は、HO-1誘導による内因性COのカルシウム流入抑制効果について検討した。 (1)ラット胎児心筋由来のH9c2細胞について、低酸素下、3μMヘミンで20時間処置することにより、HO-1誘導を行った。その結果、ウェスタンブロッティング法でタンパク質量を測定したところ、対照群と比較して、3.5倍のHO-1が誘導された。(2)虚血またはカルシウムチャンネルアゴニストによるカルシウム流入は、HO-1誘導群は対照群より低かった。(3)細胞死の評価法として代表的なMTT法を用いた虚血細胞死は、HO-1誘導群では低下し、その効果はHO-1阻害剤のZnPPによって阻害された。 以上のことから、内因性COは心筋細胞において、カルシウム流入を抑制することにより、虚血細胞死を抑制することが明らかとなった。この結果は以前に報告した外来性COが虚血細胞死を抑制するという結果と符合し、COが心筋由来細胞H9c2細胞の虚血細胞死を抑制する機構が明らかとなった。
|