2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590535
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岩楯 公晴 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90251222)
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Keywords | 乳幼児突然死 / ミルク吸引 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
実験動物にはWistar系ラット8週齢を使用。ネンブタール腹腔内投与により麻酔した後、頚部に小切開を加え気管を露出、気管内にウシミルク(市販の牛乳:明治乳業)0.25〜1.0mlを注入。注入直後〜2週間後に肺および諸臓器を摘出し、定法によりホルマリン固定、パラフィン包埋の後、2〜3μの切片を作製。抗ラクトアルブミン抗体ないし、抗Cow Whey抗体(DAKO)を使用し、ヒストファインキット(ニチレイ)により免疫染色を行った。一方、死後のミルク注入群として、ラットをネンブタールの腹腔内過量投与により死亡させた後に、ミルクを気管内に注入、同様の染色を行い、吸引部位や程度、吸引されたミルクに対する組織の反応等について比較した。 今回の実験では、生前の注入群だけでなく死後の注入群でも、全例で肺胞内までミルクが到達していた。注入直後に肺を摘出した例でも同様所見であることから、摘出後ホルマリン固定までの間に、気管支内から肺胞内まで重力によってミルクが浸透するものと考えられた。したがって、生前、死後のミルク吸引の組織学的な鑑別は、単にミルクの到達部位のみからでは困難であり、重力のみにミルクの分布が影響される死後注入群と、呼吸運動ないし肺内の循環動態の影響を受ける生前の注入群の差を見極めることが必要と思われた。しかし、両群の組織像の差は相対的なものであるため、一部分の局所的な組織像のみから生前の吸引か死後のものかを判断することは難しく、広範囲の所見からの総合的判断が必要と考えられた。17年度は主に、肺以外の臓器所見と吸引後長期の経過について調べたが、生前注入群の腎尿細管に上記抗体に対する陽性反応が認められた他、脾にミルクを貪食したと考えられるマクロファージを認めた。特に後者は吸引後2週間程度まで残存し、慢性的なミルク吸引を示す指標になるのではないかと考えられた。
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