2005 Fiscal Year Annual Research Report
腹臥位就寝と乳児突然死との因果関係に関する実験的研究
Project/Area Number |
16590549
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
向井 敏二 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (20200230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
依田 卓 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (50220752)
早川 秀幸 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (10373052)
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Keywords | 乳幼児突然死症候群(SIDS) / うつぶせ寝 / 動物実験 / 再呼吸説 / 窒息死 |
Research Abstract |
1.動物モデルの作製 歯科用アルギン酸塩印象材を用いて死児顔面形状の鋳型を作製し、これを基に超軟質ウレタン樹脂製の乳児顔面模型を作製した。次いで、母親から承諾を得た7名の乳児(生後平均119日)を腹臥位で寝かせた際の頭部・顔面重量を計測し、その平均重量1.5kgを乳児顔面模型に荷重した。生後20日齢、体重約5kgの子豚における気道腔体積を解剖により概算し、この値を超えない範囲で使用チューブ類の内腔体積を設定した。子豚を麻酔下にて気管切開し、気管内挿管チューブ、接続チューブ、乳児顔面模型を連結させ、本研究に使用する動物モデルを完成させた。 2.腹臥位就寝の実験結果 1)「うつ伏せ寝用マット」における仰臥位就寝の状態を確認するため、乳児顔面模型を上向きにして30分間放置したが、呼吸・循環動態に変化は認められなかった。 2)次いで、顔全面が寝具に接した状態(face down position : FD位)を再現するため乳児顔面模型を裏返し、顔全体が「うつ伏せ寝用マット」で覆われるように設置した。 3)FD位開始直後から努力性呼吸となり、開始前98%であったO_2飽和度は、1分後68%、5分後42%、10分後26%と著しく低下した。また、PaO_2は5分間で既に36mmHgに低下、PaCO_2は45mmHgに増加した。呼気中O_2濃度も5分後までにほぼ半減して安定化したが、CO_2濃度は徐々に増加し、15分後にO_2濃度を上回った。血圧はFD位開始直後に一過性上昇を認めたが、その後、脈拍数・呼吸数等ともに減少し、25分後に死亡を確認した。 以上の実験結果から、顔全面が寝具に接した状態いわゆるface down positionでは、たとえ「うつ伏せ寝用マット」を使用した場合でも短時間内に低O_2状態に陥り、短時間内に死亡することが確認された。またこの原因は「鼻口閉鎖による窒息」の可能性が高いと推定された。
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