2004 Fiscal Year Annual Research Report
間歇的マイクロウェーブ照射による骨試料からのDNA抽出の迅速化に関する研究
Project/Area Number |
16590553
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
今泉 和彦 科学警察研究所, 法科学第一部, 主任研究官 (00356148)
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Keywords | 法科学 / 個人識別 / 骨 / DNA抽出 / マイクロウェーブ |
Research Abstract |
本研究は,骨試料からのDNA抽出における脱灰処理工程に間歇的マイクロウエーブ照射を施して反応時間を短縮し,白骨死体の個人識別等で実施されているDNA型検査の迅速化を図るものである.本年度は,実験用試料の準備として,戸外に3年間放置したウシ中手骨を採取し,精密高速カッターを用いて約3mm角の骨ブロックを作製した.本試料は生体物質であるため,内部構造の均質性が試料間で異なる可能性が危惧されたが,新たな試みとしてマイクロX線CT装置を用いたことにより組織の立体構造が非破壊的に観察され,実験に供与するのに不適切な試料を事前に排除することができた.また,本CT装置では試料の体積が正確に測定されるため,マイクロウェーブ照射下で脱灰処理を施した後にタンパク質分解処理を行った際の骨試料の溶解量を算出するための基礎データも取得された.マイクロウェーブ発生装置については,出力と間歇照射時間との相互作用によりもたらされる反応槽の温度変化を詳細にモニターし,56℃を設定温度の上限とした場合の数種の照射条件が決定された.さらに,試験的に脱灰を施した骨試料を用いて,脱灰の進行度を定量するための軟X線撮影とバイオイメージングアナライザーによるイメージングプレート解析についての各種条件設定を行った.このように,本年度の作業は主に実験準備に費やされたが,試料の均質性が確認されたことを含め,来年度初頭から開始を予定している本格的な実験の厳密性を確保する上で有用な知見が得られた.
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