2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590564
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
岡村 信幸 福山大学, 薬学部, 教授 (60169141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福長 将仁 福山大学, 薬学部, 教授 (20132483)
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Keywords | グリチルリチン / 腸内フローラ / 腸管代謝 / 漢方薬 |
Research Abstract |
ラットの糞便懸濁液を用いた代謝実験において,芍薬甘草湯中のペオニフロリンやリクイリチンなどの配糖体に比べ,グリチルリチンの代謝速度は顕著に遅い.しかしながら芍薬甘草湯を摂取したラットの糞便懸濁液では,摂取前の糞便懸濁液に比較して有意なグリチルリチンの代謝亢進が観察された.さらに芍薬甘草湯を摂取したラットにおいて,グリチルリチンの代謝が亢進するもの(レスポンダー)と亢進しないもの(ノンレスポンダー)が認められた.ノンレスポンダーはレスポンダーの糞便懸濁液を経口投与することでレスポンダー化された.この現象は芍薬甘草湯の代わりにグリチルリチンを摂取させたラットの糞便懸濁液においても同様に起こった. レスポンダーとノンレスポンダーの腸内フローラを比較する目的で,グリチルリチン摂取時と水摂取時のレスポンダーとノンレスポンダーの新鮮糞便を採取し,ゲノムDNAを抽出して腸内細菌の同定を行った.水摂取時のノンレスポンダーではEscherichia Coli.がわずかに存在するだけであったが,レスポンダーではE.Coli.とRuminococcus sp.がノンレスポンダーと比較して多く,多種の菌種がみられたまたグリチルリチン摂取により,ノンレスポンダー,レスポンダーともにE.Coli.が増殖した.グリチルリチン代謝に関連するEubacterium sp.はいずれにおいても検出できなかった.しかしグリチルリチン摂取により腸内フローラのプロポーションが変化することが示唆され,腸内フローラがグリチルリチン代謝におけるレスポンダー,ノンレスポンダーの関係に深く関与するものと考えられる.
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