2005 Fiscal Year Annual Research Report
腸管粘膜T細胞の局所性免疫寛容機構の細胞内情報伝達の解析
Project/Area Number |
16590570
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊東 重豪 弘前大学, 医学部, 助手 (10333717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下山 克 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (50312492)
高畑 武功 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (20333726)
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Keywords | 腸管免疫 / CD25^+CD4^+T細胞 / 細胞内情報伝達 / 腸管粘膜T細胞 |
Research Abstract |
1.本年度は腸管粘膜T細胞(LPT)から制御性T細胞とされるCD25^+CD4^+T細胞をCD25 magnetic beadsによるpositive selectionにより取り除き,T細胞受容体(TCR)刺激時のタイロシンリン酸化を検討した.CD3抗体(OKT3)で刺激するとコントロールの末梢血T細胞(PBT)ではタイロシンリン酸化の増強が見られるのに対し,LPTでは,刺激前のタイロシンリン酸化のパターンがPBTとは異なっており,刺激後のタイロシンリン酸化の増強も認められなかった.一方,CD25^+CD4^+T細胞を取り除いたLPTでも刺激後のタイロシンリン酸化の増強も認められなかった.これによりLPTのTCRを介した刺激に関する低応答は,腸管粘膜に存在するCD25^+CD4^+T細胞によるものではなく,LPT自体の本質的な性質である事が示唆された.これに関し,今後は前年度検討したタイロシン脱リン酸化酵素であるSHIP-1,SHIP-2,CD45のTCR刺激後の酵素活性を検討するとともに,LPTに関するTCR刺激後のTCR関連蛋白においてPBTと異なった分子を同定する事を検討したい. 2.また本年度はTCR刺激伝達系のdown streamを検討する意味で,その主要経路の一つであるMAPキナーゼカスケードを検討した.MAPキナーゼカスケードの最終伝達分子であるERKはLPTにおいてPBTと同様の蛋白発現があり,そのセリン/スレオニンリン酸化産物であるpERKはTCR刺激後,LPTにおいてPBTと同様に認められた.LPTのTCR刺激後の増殖能やIL-2産生能の低下,更にはNFκBの転写能の低下は既に示されており,ホスホリパーゼCなどの他の経路における障害が示唆された. これらの結果も含めて,LPTのTCR刺激時の低応答に関与する分子とその刺激伝達機構に関し,更に検討を進めていく予定である.
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