2005 Fiscal Year Annual Research Report
天然物由来の新規有機化合物のスクリーニングによる新しい大腸癌化学発癌予防法の開発
Project/Area Number |
16590571
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
柴田 浩行 東北大学, 病院, 講師 (50260071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩渕 好治 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20211766)
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Keywords | クルクミン / β-catenin / Ki-ras / cyclin D1 / c-Myc / erbb2 / 家族性大腸腺腫症 |
Research Abstract |
クルクミンは香辛料として食用されるウコンに含まれ、各種がん細胞に対する抗腫瘍活性があることが知られている。元来、食用であるためクルクミンには毒性は殆どない。本研究ではクルクミンの低毒性という長所を保持しつつ、抗腫瘍活性を強化した化合物を新規に合成し、これらを用いた新しいがんの薬物療法を確立することを目的に掲げた。一次スクリーニングで活性が4倍程度増強した化合物をリード化合物として50種類を越える新規化合物を合成し、最終的に40倍程度の活性増強が達成された化合物GO-Y030およびGO-Y031を得た。新規合成化合物の構造的特徴は両端の芳香環に左右対称にalkoxy基を有するpentanoidであった。これらは各種がん細胞に対して強い抗腫瘍活性を有し、それらは既存の抗がん剤をも凌駕するものであった。GO-Y030およびGO-Y031の作用メカニズムとしては細胞周期をG2/M期で停止させる作用の他にクルクミンを上回るアポトーシス誘導能が認められた。これらの化合物はcaspase-3誘導活性の点で増強が見られた。また、これらの新規合成化合物はクルクミンよりも低濃度においてβ-catenin、Ki-ras、cyclinD1、c-Myc、erbb2といった発がんやがんの進展に関与しているがん遺伝子産物の発現消失や発現低下を引き起こすことが判明した。一方で初代培養肝細胞を用いた正常細胞への毒性に関する検討では大腸がん細胞よりも400倍以上高い濃度においても増殖抑制活性を示さず、これらの化合物はクルクミンと同程度の低い毒性を維持していることが判明した。さらに経口摂取によって家族性大腸腺腫症モデルマウスに投与したところクルクミンがポリポーシスを抑制する0.1%の含有量では毒性は全く見られていない。このような新規化合物は癌化学療法だけでなく発癌予防においても有効な薬剤となると考えられた。
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Research Products
(1 results)