2004 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌細胞-膵星細胞間相互作用に基づく新たな膵癌治療法の開発
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16590572
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
正宗 淳 東北大学, 大学病院, 助手 (90312579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 賢一 東北大学, 大学病院, 助手 (10282055)
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Keywords | 膵癌 / 膵星細胞 / トリプシン / PAR-2 / MAP kinase / 膵線維化 / endothelin-1 / カテキン |
Research Abstract |
平成16年度は、膵星細胞と膵癌細胞の共培養系を確立するとともに、膵星細胞の活性化機構や細胞機能を検討し、膵星細胞をターゲットとした治療法の基礎的検討を行った。急性膵炎の本体は活性化されたトリプシンなどの膵酵素による膵の自己消化が本態であると考えられているが、トリプシンの受容体であるprotease-activated receptor(PAR)-2に注目し、トリプシンやPAR-2活性化ペプチドが活性化膵星細胞の増殖やコラーゲン産生を刺激することを見いだした。この知見は、急性膵炎の反復が慢性膵炎につながるという概念の実験的裏付けの一助になると考えられる重要なものである。膵星細胞を血管収縮因子であるendothelin-1で刺激すると、増殖は影響されないが、収縮や遊走が誘導されること、またその誘導にはRho-Rho kinaseの活性化が重要であることを明らかにした。さらに、膵星細胞の活性化制御という観点から、MAP kinasesの1種であるc-Jun N-terminal kinase阻害剤であるSP600125が、膵星細胞の増殖や、コラーゲン産生、ケモカイン産生などを抑制する事を明らかにした。この知見は静止期にある膵星細胞の筋線維芽細胞への形質変換におけるc-Jun N-terminal kinase系の位置づけを明らかにするものでもある。さらに膵星細胞活性化抑制物質としてカテキン類などのポリプェノールに着目し、緑茶に含まれるepigallocatechin-3-gallateが、血小板由来増殖因子(PDGF)のシグナル伝達を阻害する事により、膵星細胞の増殖や遊走を抑制することを明らかにした。
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Research Products
(5 results)